ニュース速報

ワールド

欧州司法裁、米国へのデータ移転枠組みを無効と判断

2020年07月17日(金)03時55分

 7月16日、欧州司法裁判所は、EUの個人データを米国に移転することを認める枠組み「プライバシーシールド」が無効だと判断を示した。写真はフェイスブックのロゴ。1月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

[ルクセンブルク 16日 ロイター] - 欧州司法裁判所は16日、欧州連合(EU)の個人データを米国に移転することを認める枠組み「プライバシーシールド」を無効とする判断を示した。同枠組みを利用する企業は数千社に上り、情報の移転に支障をきたす恐れがある。

プライバシーシールドは2016年に導入され、多くの企業が利用しているが、米フェイスブックを提訴したプライバシー活動家のマックス・シュレムス氏が、米国による監視のリスクに懸念を示していた。

欧州司法裁は「特定の監視プログラムに関して、それらを実施する権限に制限が設けられていないほか、対象となり得る非米国人に対する保証もなされていない」と判断理由を説明した。

シュレムス氏は「完全な勝訴」とコメント。フェイスブックは「決定を精査し、規制当局の方針を仰ぎたい」とした。

欧州司法裁は、プライバシーシールドの前身制度である「セーフハーバー」についても、シュレムス氏の訴えを受けて、2015年に無効との判断を示している。

ただ欧州司法裁は、別のデータ移転の枠組みである「標準契約条項」については、有効との判断を示した。ただし、データの保護が保証できない場合は、規制当局がEU域外へのデータの移転を停止もしくは禁止すべきだと主張した。

フェイスブックをはじめとする多数の大手企業、自動車メーカーなどは、クラウド・サービス、データ・ホスティング、給与管理、金融、マーケティングなど様々分野でEU域内のデータをEU域外に移転する際に、この標準契約条項を利用している。

標準契約条項に無効判断が出ていた場合、企業はデータ移転の停止に追い込まれていた可能性がある。他の選択肢はコストが高く、複雑でほとんど利用されていない。

シュレムス氏はフェイスブックによる標準契約条項の利用について、データ保護が不十分として訴訟を起こしていた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国スマホ販売、第1四半期はアップル19%減 20

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 10

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中