ニュース速報

ワールド

NY州などでコロナ危機安定の兆候も、全米死者は1万人突破

2020年04月07日(火)07時55分

米ニューヨーク州のクオモ知事は6日、同州の新型コロナウイルス感染者の入院が減少し、死者の増加が横ばいになったと述べた。ニューヨーク市クイーンズ地区で撮影(2020年 ロイター/Eduardo Munoz)

[ニューヨーク 6日 ロイター] - 米ニューヨーク、ニュージャージー両州の知事は6日、新型コロナウイルス危機が安定期に差し掛かりつつある可能性を示す初期の兆候が見られると述べた。しかし、全米での新型コロナ感染症による死者は1万人を突破し、予断を許さない状況が続いている。

ニューヨーク州のクオモ知事によると、同州の新型コロナ感染症による死者が前日から599人増え4758人。前日の死者増加数は594人、前週3日は630人だった。感染者は過去24時間で7%増加し13万0680人に達した。

同時に、クオモ知事は人工呼吸器を利用するために必要な挿管や集中治療室(ICU)の利用の減少と共に入院も減少しているとし、新型コロナ死者に関する「曲線が平坦化しつつある可能性」を示唆していると指摘。ただ、死者数は依然深刻で、同州が確実に危機を脱したわけではないとし、「曲線が平坦化したとしても、高水準での平坦化だ」と、くぎを差した。[nL4N2BU3J2]

さらに、不要不急の事業や学校閉鎖を4月29日まで2週間延長する方針を示したほか、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)規定の違反者に対する罰金を1000ドルに倍増したと発表した。

米国内でニューヨーク州に次ぎ新型コロナ感染者・死者数が多いニュージャージ州のマーフィー知事も、新型コロナ感染の「曲線平坦化に向けた取り組みが奏功し始めている」と述べ、ソーシャル・ディスタンシングや手洗いに関する指針の重要性をあらためて強調した。

同州でこれまでに確認された感染者数は4万1000人超、死者は1000人超。しかし、感染者の増加ペースはこの日12%と、3月30日時点の24%から大幅に鈍化した。

国内での死者はこの日、1万0297人に達し、イタリア、スペインに次いで世界3番目の水準となった。

全米50州とワシントンDCのうち8州を除き、自宅待機令が発令され、90%超の国民が対象となっている。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策本部メンバー、ブレット・ギロイル医師はABCのテレビ番組「グッド・モーニング・アメリカ」で、「入院やICU、そして残念ながら死者数でもピークとなる週を迎えるだろう」と指摘。特にニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、デトロイトに警戒するよう呼び掛けた。[nL4N2BU361]

米ワシントン大学のモデル分析によると、8月4日までの米国内での死者予測は8万1766人と、先週末時点での予想から約1万2000人減少した。

カリフォルニア州は、医療機器の不足が深刻なニューヨーク州などを支援するため、連邦政府が管理する備蓄システムに人工呼吸器500台を貸し出すと表明した。

カリフォルニア州でも来月には人工呼吸器の不足が予想されるが、ニューサム州知事は当面は州内に確保している分で賄えるとしている。

ニューヨーク市では、デブラシオ市長が医療機器以上に医療従事者の不足が深刻化していると指摘し、4月いっぱいを乗り切るために、さらに4万5000人の医療スタッフが必要だと述べた。

市長は、手術用ガウンを製造する工場の前で「こうした医療物資も必要だが、それを着るヒーローが必要だ」と訴えた。

ニューヨーク市ではこれまでに3100人以上が死亡している。市の衛生当局者は、公園内に一時的に死者を埋葬しなければならない可能性があるとし、秩序と尊厳のある方法で行うが、市民には受け入れ難いことになるかもしれないと述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、米通商代表と16日にニューデリーで貿易交渉

ビジネス

コアウィーブ、売れ残りクラウド容量をエヌビディアが

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト

ビジネス

米アルファベット、時価総額が初の3兆ドル突破 AI
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中