ニュース速報

ワールド

中国新型肺炎の死者、8人増の17人に ウイルス変異か

2020年01月22日(水)23時58分

 中国湖北省の保健当局は、同省の新型コロナウイルスによる肺炎の死者が8人増え、17人になったと発表した。国営テレビが22日報じた。写真は1月20日、羽田空港で撮影(2020年 ロイター/KIM KYUNG-HOON)

[上海/北京/マニラ 22日 ロイター] - 中国湖北省の保健当局は、同省の新型コロナウイルスによる肺炎の死者が8人増え、17人になったと発表した。国営テレビが22日報じた。

国内ではこれまでに計470人以上の感染を確認。湖北省では22日午後8時(日本時間同9時)時点で、444人の感染が確認されたという。

春節(旧正月)の大型連休で大規模な人の移動が見込まれる中、中国政府は国民がパニックに陥らないよう腐心しているが、22日にマカオや香港でも感染が確認された。

年末に湖北省武漢市で発生した新型肺炎は、北京や上海など国内の他の都市にも感染が広がり、国外ではこれまでに米国、タイ、韓国、日本と台湾で感染者が報告されている。22日にはマカオで初めての感染が確認されたほか、タイで4例目の感染が報告された。マカオの感染者は52歳の女性で武漢市からの旅行者。タイの新たな感染者は73歳のタイ人女性で、新年の休暇中に武漢市に旅行していたという。

香港の複数の地元メディアによると、香港でも22日、初の感染が確認された。RTHK、ケーブルTV、TVBが匿名筋の情報として伝えたところによると、感染者は、中国本土から高速鉄道で香港に入った。すでに病院に隔離されているという。

国家衛生健康委員会の李斌副主任は22日の記者会見で、感染者と濃密な接触をしたケースが新たに2197人確認されたとし、「呼吸器感染」の証拠があると語った。

2002━03年に世界中に感染が拡大した重症急性呼吸器症候群(SARS)では800人近い死者が出た。

李副主任は、SARSの時のような、他者への感染力が強い「スーパースプレッダー」の存在はまだ確認していないと語った。大勢の人が集まる場所を避けるよう求めるとともに、中国はWHOとの連携を強化すると述べた。

中国疾病予防コントロールセンターの高福主任は会見で、新型コロナウイルスは適応し、変異しているとの見解を示した。感染拡大を食い止めるのは困難な状況とみられる。

世界保健機関(WHO)は21日、新型肺炎は今後数日間に、中国国内でも世界でもさらに感染が拡大する可能性が高いと警告した。22日には緊急委員会の会合を開催し、新型肺炎が「国際的な公衆衛生上の緊急事態」に当たるかどうかを検討する。

世界各国の空港が中国からの渡航者に対する検査を強化しており、オーストラリアに続いて台湾も武漢市への旅行を避けるよう警告を発した。

21日に最初の感染例が確認された台湾の蔡英文総統は22日、中国に新型肺炎について「正確な」情報を共有するよう要請。武漢の団体旅行客が当面、台湾を訪問しないよう指示した。

台湾は中国の反対によりWHOに加盟していないが、総統は政治的理由で世界的な協力体制から除外しないよう求めた。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は22日、春節(旧正月)の連休前に台湾に既に帰省している武漢工場の従業員に対し、感染防止のため、台湾にとどまるよう要請した。

報道によると、武漢では2020年東京五輪に向けたボクシングのアジア・オセアニア予選が2月に開催される予定だったが、新型肺炎の影響で中止になるという。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア、対米関税「ほぼゼロ」提案 貿易協議で

ビジネス

訂正-日経平均は小反落で寄り付く、米市場休場で手控

ワールド

ルラ大統領、再選へ立候補示唆 現職史上最高齢で健康

ワールド

米テキサス洪水死者78人に、子ども28人犠牲 トラ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中