ニュース速報

ワールド

中国、第1段階合意で米からの輸入拡大確約 自動車など=関係筋

2020年01月15日(水)08時21分

 米国と中国が15日に調印する「第1段階」通商合意について、中国が米製品・サービスの購入を向こう2年間で拡大すると確約したことが、関係者の話で明らかになった。写真は中国と米国の国旗。2018年撮影(2020年 ロイター/Jason Lee)

[ワシントン 14日 ロイター] - 米国と中国が15日に調印する「第1段階」通商合意について、中国が米製品・サービスの購入を向こう2年間で拡大すると確約したことが、関係者の話で明らかになった。

合意の説明を受けた関係筋によると、中国は向こう2年間に、米国で製造された製品の購入を2017年比で約800億ドル増やす。このほか、エネルギー関連で500億ドル強、サービスで約350億ドル、農産品で約320億ドルそれぞれ購入を拡大する。農産品の購入拡大は1年あたりおよそ160億ドルとなり、17年実績の240億ドルと合算するとトランプ米大統領が目標としていた400億ドルとなる。

17年比で約320億ドルの農産品輸入拡大は、全米商工会議所で国際事務を担当するマイロン・ブリリアント氏が13日の北京での記者会見で確認していた。

合意内容は、15日午前11時半(日本時間16日午前1時半)にホワイトハウスで行われる「第1段階」通商合意の署名式典にで発表される見通し。式典にはトランプ米大統領と中国の劉鶴副首相が出席する。

一方、米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官は14日に発表した共同声明で、対中関税の将来的な引き下げは合意に含まれていないと明らかにし、ブルームバーグの報道を否定した。

合意では、詳細な購入額を記した付属文書が唯一、非公表になると説明した。

関係筋によると、中国が輸入を約800億ドル拡大するという米製品には、自動車、自動車部品、航空機、農機、医療機器、半導体が含まれるという。

関係筋は、輸入拡大の対象となる米サプライヤーの具体名は挙げなかったが、ボーイング製航空機の購入が拡大される可能性がある。ボーイングによる中国への新規販売は、過去2年間途絶えている。

ただ、輸入拡大額を明らかにした関係筋は、中国による製品購入確約に疑念を表明。米中通商合意が、調達ルールや製品基準、中国国有企業への補助金を含め、これら米製品を中国市場から数十年にわたって締め出していた非関税障壁に対処していないためという。

中国自動車販売が低迷し、国内組み立て能力の余剰が拡大する中、中国が米国でつくられた自動車をさらに大幅に買い入れる必要性も見出しがたい。

中国はまた、米国製品の輸入を増やすとしている、まさにこうした製造分野で支配的地位を占めるという産業政策目標を掲げており、懐疑論に拍車をかけている。

上院民主党トップのシューマー院内総務はトランプ氏宛てに書簡を送り、中国の「強欲な貿易慣行」や構造的な不公正さに対応していない弱い合意は、米国の労働者と企業に今後何年間も悪影響を及ぼすことになると警告。

同氏は記者団に、第1段階合意の真の勝者は中国だと述べ、中国は既にアルゼンチンおよびブラジル産の大豆の長期購入契約を結んでいるため、米国産大豆の購入を引き上げる「確証はない」と強調した。

多くのエコノミストや専門家もまた、第1段階合意が文章通り履行されることを疑問視している。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ペプシコの第1四半期決算、海外需要堅調で予想上回

ビジネス

仏ケリング、上期利益が急減の見通し グッチが不振

ワールド

トランプ前米大統領、麻生自民副総裁と会談=関係者

ワールド

北朝鮮「圧倒的な軍事力構築継続へ」、金与正氏が米韓
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中