ニュース速報

ワールド

難民対策3月がリミット、シェンゲン協定崩壊も=EU大統領

2016年01月20日(水)04時42分

 1月19日、EU大統領は難民問題に早く対処しなければ、シェンゲン協定が崩壊する可能性があると警告した。写真は子供を抱きかかえてセルビアの凍土を歩く移民。18日撮影(2016年 ロイター/Marko Djurica)

[ストラスブール 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)のトゥスク大統領は19日、域内の移民や難民の問題に早く対処しなければ、パスポートなしでEU内を自由に行き来できるシェンゲン協定が崩壊する可能性があると警告した。

トゥスク大統領は欧州議会で「事態を掌握するための期間はあって2カ月だ」と述べ「3月のEU首脳会議が、我々が効果的な方策を打ち出すタイムリミットになる」との見方を示した。

3月17─18日に開かれる首脳会議は、主に移民や難民の問題について協議されるとみられる。シェンゲン協定に基づく制度は既に、デンマークやドイツ、スウェーデンなどいくつかの国で停止されており、これらの国は移民や難民の大量流入を抑えるため国境での規制を導入した。

トゥスク大統領はEU各国が、移民・難民の流入を抑えられていないと指摘。欧州への難民らは昨年100万人超に上り、冬場も減る気配はない。大統領は、域外との国境を適切に管理できなければ、EUは「政治的プロジェクトとして失敗」することになると述べた。

一方、英国がEU残留に必要だと求めている条件をめぐる協議に関しては、2月の首脳会議を前に、具体案を提示すると強調。英国はEU改革での合意を条件に、残留を検討するとしている。最も論議を呼んでいる英国側の要求は、EU域内から流入する移民に対し4年間は社会保障制度を適用しないというものだ。

トゥスク大統領は「差別しないことや自由な移動という根本的な価値観については譲歩しない」としながらも「英国にとっても満足のいく解決策をみつけられるよう全力を尽くす」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

リーブス英財務相、広範な増税示唆 緊縮財政は回避へ

ワールド

プーチン氏、レアアース採掘計画と中朝国境の物流施設

ビジネス

英BP、第3四半期の利益が予想を上回る 潤滑油部門

ビジネス

中国人民銀、公開市場で国債買い入れ再開 昨年12月
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中