ニュース速報

ビジネス

焦点:今回FOMCは金利据え置きか、年内追加利上げの議論継続

2023年09月11日(月)10時21分

 今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、委員らは2つの点についてかなり明確な情報発信をしてきた。写真は2013年7月、ワシントンのFRBで撮影(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)

Ann Saphir

[8日 ロイター] - 今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、委員らは2つの点についてかなり明確な情報発信をしてきた。すなわち、利上げを急いではいないが、インフレとの闘いについて勝利宣言をする準備が整った委員はほとんどいない、ということだ。

FOMCは40年ぶりの高インフレを抑えるために過去1年半で累計5.25%の利上げを行い、その効果は現れ始めている。雇用の伸びは減速し、インフレ率はここ数カ月で急激に鈍化。幹部らが重視する個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比上昇率は、昨夏に7%だったのが、ことし7月には3.3%に落ち着いた。

そして現在、FOMCの最もタカ派の委員でさえ、当面は今後の経済データを静観する姿勢を示している。

ダラス地区連銀のローガン総裁は7日、「今月の会合で再び利上げを見送るのが適切かもしれない」と述べた上で、「ただ、まだ成すべき仕事が残っているというのが私の基本シナリオだ」と付け加えた。

次回のFOMCは今月19―20日に予定されており、その前の10日間ほどはメンバーが発言を控える「ブラックアウト」期間に入る。

金融市場は、今月のFOMCがフェデラルファンド(FF)金利を5.25―5.5%に据え置くと予想している。FOMCメンバーの見解には大きなばらつきがあるが、それでもだれ1人として市場のこうした見方を強くけん制してはいない。

普段はタカ派のウォラー連邦準備理事会(FRB)理事も4日の週に、インフレ率の下振れ基調が続くかどうかを見極めるため「われわれは静観することが可能だ」と語った。

<データと経済見通し>

今月のFOMCではメンバーによる最新の経済見通しが発表される。ローガン総裁のように、他の委員も追加利上げの必要性が残っていると考えているかどうかが分かるだろう。

前回6月の経済見通しでは、FOMCメンバーの3分の2が、インフレ率をFRB目標の2%まで持続的に下げるには、FF金利を年内に5.5%を上回る水準まで引き上げる必要があると考えていることが示唆された。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は7日、「(インフレ目標を)達成するのに十分な引き締めを行ったかどうかは、今後の動向を見なければまだ分からない」と語った。

ウィリアムズ氏をはじめとする幹部らは、経済データを注視すると述べている。今月のFOMC前に発表される重要データの一つが、13日発表の8月消費者物価指数(CPI)だ。エコノミストを対象としたロイター調査では、ガソリン価格の上昇を主因として前年同月比上昇率が3.6%に高まった見通しだが、基調的な物価上昇圧力は鎮静化を続けている可能性が高い。

同じ週に発表される重要指標にはこのほか、8月の小売売上高と卸売物価指数がある。いずれも、シカゴ地区連銀のグールスビー総裁が言うところの「黄金の道」、すなわちリセッションを伴わないインフレ鎮静化への道を脅かす内容ではないと予想されている。

もっとも、幹部らは落とし穴が隠れている可能性も注意している。例えば、自動車労働者がストライキを実施すれば、政策に大きな影響を及ぼすとグールスビー氏は述べた。

一方で、数週間、もしくは数カ月以内に予想外に強いデータが出れば、年末までに追加利上げが行われるとの見方が再燃しかねない。金融市場は現在、その確率を40%前後と想定している。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール中銀、金融政策据え置き

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、円高が重し 足元はプラス

ワールド

エヌビディアが中国ディープシークのAIモデル開発支

ビジネス

米アマゾン、AI推進で全世界1.6万人削減 さらな
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中