ニュース速報

ビジネス

米5月雇用者は予想上回る33.9万人増、賃金伸び鈍化 失業率3.7%

2023年06月03日(土)00時18分

米労働省が2日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回った。ただ賃金の伸びは鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で利上げを見送る材料となる可能性がある。2021年5月撮影(2023年 ロイター/Mike Blake/File Photo)

[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回った。ただ賃金の伸びは鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で利上げを見送る材料となる可能性がある。

4月の非農業部門雇用者数は25万3000人増から29万4000人増に上方改定された。3─4月の雇用増は合計9万3000人上方改定された。

一方、失業率は3.7%と7カ月ぶり高水準。4月に記録した53年ぶり低水準の3.4%から上昇した。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「米企業は依然として積極的に採用している。おそらく回復力のある消費者需要を満たすためだ」と指摘。「しかし、今回の雇用統計では他の部分で軟調さが示されており、労働市場が勢いを失っていることを示唆している。FRBが次回の会合で利上げを見送るには十分な軟調さだろう」と述べた。

業種別では、専門職・ビジネスサービスが6万4000人増。将来の雇用の指標とされる派遣などの臨時雇用が回復した。政府は5万6000人増となったが、パンデミック(世界的大流行)前の水準をなお20万9000人下回っている。

ヘルスケアは5万2000人増加。レジャー・接客業も4万8000人増加したが、パンデミック前の水準をなお34万9000人下回っている。建設業は2万5000人、運輸・倉庫業は2万4000人それぞれ増加した。

一方、製造業は減少したほか、鉱業、採石業、石油・ガス採掘業、卸売業、小売業、金融業の増加は緩やかだった。

時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇、前年同月比4.3%上昇し、ともに前月から伸びが鈍化。4月は前月比0.4%上昇、前年同月比4.4%上昇だった。

パンデミック前の賃金の前年同月比の伸びは平均で約2.8%だった。

CMEグループのフェッドウオッチツールによると、金融市場が織り込む6月13─14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送り確率は70%超となった。

家計調査に基づく雇用は31万人減少した。米ハリウッドの脚本家約1万1500人でつくる全米脚本家組合(WGA)による継続的なストライキが影響している可能性がある。労働省は雇用統計で5月のストライキを反映していない。

家計調査に基づく雇用の減少に加え、労働力人口が13万人増加したことが失業率を押し上げた。黒人の失業率は4月の4.7%から5.6%に上昇した。

インディード・ハイアリング・ラボの経済調査責任者、ニック・バンカー氏は「これは統計上のノイズかもしれないし、黒人労働者が不釣り合いに失業率の上昇の影響を受けていることの表れかもしれない」と述べた。

労働参加率は62.6%と変わらずだった。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科の社債急落、政府支援巡り懸念再燃 上場債売

ワールド

台湾が国防費400億ドル増額へ、33年までに 防衛

ビジネス

インフレ基調指標、10月の刈り込み平均値は前年比2

ワールド

米民主党上院議員、核実験を再開しないようトランプ氏
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中