ニュース速報

ビジネス

欧州市場サマリー(29日)

2022年06月30日(木)02時48分

[29日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。世界景気の減速懸念が強まり、シクリカル(景気循環)銘柄を中心に下落した。ただ、FTSE350種製薬・バイオテクノロジー株指数は2.02%上げたため、相場全体の下げ幅は限定的だった。

英資源大手アングロ・アメリカンと酒造大手のディアジオはそれぞれ1.7%、2.9%下落。ドイツ銀行による投資判断引き下げが嫌気された。

一方、英製薬のアストラゼネカ、グラクソ・スミスクライン(GSK)はそれぞれ2.5%、1.5%上昇した。

エクイティ・キャピタルの首席マクロエコノミスト、スチュアート・コール氏は「FTSE100種は現在の市場を表している。誰も何をすべきか分からず、強い信念に基づいた取引ではない」とし、「インフレ率が高く、経済成長がリスクにあり、金利が上昇していくことは誰もが知っているが、当局がこれら全てに反応して、事が順調にいくかどうかは本当に分からない」と述べた。

英経済は景気後退リスクと2桁の領域に近づいているインフレ率の高騰に苦しんでいるが、イングランド銀行(英中央銀行)は8月も政策金利を引き上げると予想されている。

中型株で構成するFTSE250種指数は1.61%安。

個別銘柄では、自動車販売のルッカーズが3.2%と大幅上昇。車不足が起きているのを背景に、通期の業績見通しを引き上げたことが好感された。

<欧州株式市場> 4営業日ぶりに反落して取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁と米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がタカ派的な姿勢を堅持し、世界的な景気後退への懸念が強まった。

STOXX欧州600種不動産株指数、自動車・部品株指数がそれぞれ3.50%、2.60%下落。銀行株指数は1.08%安、資源株指数は1.25%下げた。

ラガルド氏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の超低インフレの時代が戻る可能性は低く、中央銀行は物価上昇率が極めて高くなると予想される状況に適応する必要があるとの考えを示した。一方、パウエル氏は景気後退のリスクはあるが、物価上昇のリスクのほうが大きいと訴えた。

TSロンバードのストラテジストらは「市場は景気減速を認識しており、問題はどの程度の速さでどこまで鈍化するかだ」とし、「われわれの基本ケースは、主要市場全般が景気後退に陥るというものだ」と述べた。

29日に発表されたドイツの6月の消費者物価指数(CPI)は市場予想に反して伸び率が鈍化した。アナリストらはこれは一時的な効果によるもので、物価上昇が頭打ちしたとの見方に警告を発した。

業績不振に陥っている料理宅配会社のジャスト・イート・テイクアウェー・ドットコムは16.5%安。米グラブハブ事業を売却できるかや、新たな資金調達なく黒字化できるかどうかが疑問視されている。

スウェーデンの衣料品大手H&Mは2.2%高。四半期利益が33%増と予想を上回ったのが好感された。

<ユーロ圏債券> 国債利回りが急低下した。6月の欧州連合(EU)基準(HICP)のドイツ消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想を下回ったことが背景。

UBSのリサーチストラテジスト、ロハン・カンナ氏は「ECBが姿勢を緩める転機となるかもしれない」と述べた。しかし、7月1日にユーロ圏CPIの発表を控え、この時点で判断するのは時期尚早だとした。

ドイツ連邦統計庁が29日発表した6月のCPI速報値は前年同月比8.2%上昇となり、上昇率は5月の8.7%から鈍化。市場予想は8.8%上昇だった。

エコノミストらは、この結果は政策対応による一過性のもので、物価上昇圧力が終わりを告げたわけではないと警戒姿勢を崩していない。

それでも、ユーロ圏の指標となるドイツ10年国債利回りは、終盤には13ベーシスポイント(bp)近く低下して1.52%となった。

一方スペインでは、6月のインフレ率が10.2%と、1985年4月以来初めて10%を超えた。前月の8.7%から伸び率が拡大し、ロイターのまとめた市場予想も大きく上回った。

ABNアムロのシニアエコノミスト、アライン・シュイリング氏は顧客向けメモの中で「(独の)官製値下げを除けば、ユーロ圏のインフレ率は6月に上昇したようだ」と述べた。

短期市場が織り込む年末までのECBの利上げ幅はほぼ変わらず、155bpの予想。前日は163bpだった。 。

イタリアの10年国債利回りは17bp低下して3.49%。独伊10年国債利回りのスプレッドは198bpに縮小した。

アナリストは、7月のECB理事会まではスプレッドが200bp近辺にとどまると予想している。

また市場では、ポルトガルのシントラで開催されたECBフォーラムでの中央銀行総裁らの講演も引き続き注目されている。

<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード

ユーロ/ドル    1.0475 1.0514

ドル/円 136.48 136.00

ユーロ/円 142.97 143.05

<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード

STOXX欧州600種 413.42 -2.77 -0.67 416.19

FTSEユーロファースト300種 1628.60 -6.60 -0.40 1635.20

ユーロSTOXX50種 3514.32 -34.97 -0.99 3549.29

FTSE100種 7312.32 -11.09 -0.15 7323.41

クセトラDAX 13003.35 -228.47 -1.73 13231.82

CAC40種 6031.48 -54.54 -0.90 6086.02

<金現物> 午後 コード

値決め 1819.05

<金利・債券>

米東部時間13時14分

*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード

3カ月物ユーロ 100.05 +0.04 100.01

独連邦債2年物 108.81 +0.30 108.51

独連邦債5年物 123.19 +0.99 122.20

独連邦債10年物 146.99 +1.81 145.18

独連邦債30年物 160.08 +3.56 156.52

*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード

独連邦債2年物 0.837 -0.126 0.965

独連邦債5年物 1.283 -0.156 1.375

独連邦債10年物 1.525 -0.123 1.638

独連邦債30年物 1.748 -0.096 1.833

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米北東部7州とNY市、独自のワクチン推奨で連携 政

ワールド

米つなぎ予算案、19日可決か 下院議長「必要な票あ

ビジネス

米フェデックス、6─8月期利益が予想上回る コスト

ワールド

米下院議員、中国の希土類規制解除なければ航空機発着
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中