ニュース速報

ビジネス

米国救済計画、インフレ高進への寄与「小さい」=財務長官

2021年12月02日(木)03時49分

米国のイエレン財務長官は1日、バイデン大統領の1兆9000億ドル規模の米国救済計画によって需要が増大したが、現行のインフレ高進の小さな一因に過ぎないと述べた。6月撮影(2021年 ロイター/Greg Nash)

[ワシントン 1日 ロイター] - 米国のイエレン財務長官は1日、バイデン大統領の1兆9000億ドル規模の米国救済計画によって需要が増大したが、現行のインフレ高進の小さな一因に過ぎないと述べた。

下院金融サービス委員会での証言で、同計画が需要を押し上げたのは明らかだが、必要以上の刺激策で現行のインフレ高進につながったとの見方は公平ではないと指摘。「米国救済計画により国民の懐が暖まり、米経済の旺盛な需要を支えたことは確かだが、現在のインフレの規模と要因を見る限り、その寄与度はせいぜい小さいものだ」と語った。

バイデン大統領の対応に伴うインフレへの影響に関する共和党議員からの質問に対しては、長期にわたる失業や高い失業率をもたらしかねない需要不足に対応するために景気刺激策を実施する「非常に適切な理由」があったと主張。「景気刺激策は成功し、需要を押し上げた。これはインフレに関連するいくつかの要因の一つだ」とした。

また、インフレの主要因は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)であり、その影響で需要がサービスからモノへと「大幅に」転換し、サプライチェーン(供給網)の問題や労働力供給への持続的な影響をもたらしたと分析。パンデミックは労働力に「異常なショック」を与え、健康問題への懸念から多くの低所得労働者が仕事に復帰できない状況にあるが、パンデミックが収束すればその影響は軽減するだろうとした。

バイデン大統領が看板政策に掲げる1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」を巡っては、米経済全体に比べればわずかな規模としたほか、供給上の問題を改善し、長期的には現在進行中のインフレ圧力の緩和につながるとした。また、歳出法案に含まれる子育て支援策が特に女性の労働参加率を押し上げるとした。

米議会予算局(CBO)は歳出法案により今後10年間で財政赤字が3670億ドル増えると試算しているが、イエレン氏はCBOの試算には今後10年間で4000億ドルの歳入増加が見込まれる内国歳入庁(IRS)の徴税強化の影響が含まれていないとし、歳出法案は財政赤字の縮小に寄与するとした。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米指標やFRB高官発言受け

ビジネス

ネットフリックス、第1四半期加入者が大幅増 売上高

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、経済指標と企業決算に注目

ビジネス

USスチール買収計画の審査、通常通り実施へ=米NE
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中