ニュース速報

ビジネス

米上院、1.9兆ドルのコロナ追加対策法案を可決 共和党支持せず

2021年03月07日(日)14時08分

米上院は6日昼、バイデン大統領が提示した1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案を民主党議員の賛成のみで可決した。審議は前日から徹夜で続いていた。写真は首都ワシントンの連邦議会議事堂。2月撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 6日 ロイター] - 米上院は6日昼、バイデン大統領が提示した1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案を民主党議員の賛成のみで可決した。審議は前日から徹夜で続いていた。

米国史上最大級かつバイデン政権初の目玉法案である追加経済対策を巡り、民主党内の合意形成や共和党による数十項目もの修正案の提案で、採決までに時間がかかった。

採決結果は賛成50票、反対49票。民主党議員は全員賛成したが、共和党議員からの支持は得られなかった。共和党のサリバン議員が親族の葬儀で採決を欠席したため、共和党の総票数は49票だった。

上院の最終案には大半の国民に1400ドルを直接給付する予算4000億ドルが盛り込まれた。ただ、年間所得が7万5000ドルを超える場合は所得に応じて段階的に給付額が削減される。

法案には、約950万人が対象となる失業給付の上乗せ額を週300ドルにすることも含まれた。上院民主党は前日、下院を先週通過した法案に盛り込まれた週400ドルの上乗せ額を300ドルに縮小する一方、給付期間を9月6日まで延長することで合意していた。

民主党は現行の失業給付上乗せ措置が期限を迎える3月15日までに法案を成立させたい考え。

このほか、コロナ禍で財政が悪化した州政府や地方自治体向けの約3500億ドルの支援も最終案に盛り込まれた。

下院の法案に盛り込まれていた最低賃金を現在の時給7.25ドルから同15ドルへ引き上げは、上院では除かれた。

民主党穏健派は、失業給付上乗せ増額と最低賃金引き上げで経済が過熱し、地方のビジネスが打撃を受ける可能性に懸念を示していた。

上院が今回、下院の法案に修正を加えた法案を可決したことを受け、バイデン大統領は6日、下院が修正法案を迅速に可決し、自身の署名によって国民への直接給付を開始できることを望むと表明。「この法律により、支援をまさに必要とする国民に今月から小切手の配布を開始できる」と語った。

民主党のホイヤー下院院内総務はツイッターで、下院は上院が可決した修正案の採決を9日に行うと表明した。

バイデン大統領は、上院の法案修正に一部の民主党員は失望したかとの質問に、「彼らは失望していない。サンダース上院議員が語ったように、これは彼が議員になって以来、最も進歩的な法案だ」と答えた。

一方、共和党上院トップのマコネル院内総務は、上院が2兆ドル規模の法案をこれほど場当たり的に可決したことはかつてないと述べ、法案を批判した。共和党は追加対策をバイデン氏が示した規模の3分の1程度に縮小するよう求めていた。

上院(定数100)で民主党と共和党の議席数が50ずつとなる中、民主党は追加対策法案の採決にあたり、財政調整措置(リコンシリエーション)と呼ばれる手続きを活用し、通常の賛成60票ではなく単純過半数で法案を可決することを目指した。

実際には、共和党の1議員が採決を欠席したため、票は同数にならず、上院議長を兼ねるハリス副大統領の票も可決に必要にならなかったが、民主党が今後、気候変動や移民など他の政策課題の法案でも同様の戦略を取るかは不明だ。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中