ニュース速報

ビジネス

インドネシア中銀、予想通り金利据え置き 景気支援は継続

2021年01月21日(木)19時44分

[ジャカルタ 21日 ロイター] - インドネシア中央銀行は21日、今年最初の金融政策決定会合で、市場の予想通り政策金利を据え置いた。今年の成長率予想を維持する一方で、今後も景気支援を続ける考えを強調した。

7日物リバースレポ金利は3.75%で、2016年に政策金利とされて以来最低の水準。ロイター調査では、アナリストの大半が据え置きを予想していた。

翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)は3.00%、貸出ファシリティー金利は4.50%にそれぞれ維持した。

ペリー総裁はオンライン会見で、12月と1月に新型コロナウイルスの感染が増加し経済活動に一定の影響を及ぼしているとしながらも、中銀は引き続き今年の成長率を4.8─5.8%と予想していると述べた。「われわれはワクチン接種(の進展)、世界の状況、財政拡大、設備投資、投資の伸びに基づいて(見通しを)再評価する」と説明し「今後も景気回復を支えるためあらゆる政策措置を講じる」と述べた。

インドネシアは昨年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、過去20年余りで初めてリセッション(景気後退)に陥った。

中銀は昨年合わせて125ベーシスポイント(bp)の利下げを実施、金融システムに約500億ドルの流動性を供給し、貸出基準も緩和した。

ただ国内の感染者と死者数は過去最多の水準で、通常の経済活動レベルに戻るには時間がかかると懸念されている。インドネシアの感染者数と死者数は東南アジアで最多。

ペリー総裁は活動制限により個人消費の回復ペースは予想よりも遅いが、今年は輸出の伸びと財政刺激策に支えられて景気回復が続くとの見通しを示した。

マンディリ銀行のエコノミストは、今年は金利は据え置かれると予想。「今年利上げする余地はほとんどなく、利下げ余地も少ない傾向にある」と述べた。

一方ダナモン銀行のエコノミストは来月公表される2020年の国内総生産(GDP)伸び率が中銀の予想を下回れば、同月中に利下げが行われる可能性が「十分ある」と指摘した。

ロイター調査では、年内の金融緩和見通しでアナリスト15人のうち8人が利下げは21年第1・四半期と予想している。

キャピタル・エコノミクスのアジア担当シニアエコノミスト、ギャレス・レザー氏は社会的距離の確保が今年のほとんどの期間で経済に重しとなるとの見方を示した。「これが緩和サイクルの終わりを示しているとは思えない」とし「将来の利下げのタイミングは為替相場次第だ」と語った。

ペリー総裁は通貨ルピアが「基本的に過小評価されている」と述べ、対ドルで上昇の余地があるとの認識を示した。米バイデン政権下での財政支出と米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和を背景に新興市場への資金流入が増加すると予想した。

インドネシア中銀の予想によると、今年の資本流入は191憶ドルと昨年の110憶ドルから拡大する見込みと述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、慎重な対応必要 利下げ余地限定的=セントル

ビジネス

今年のドル安「懸念せず」、公正価値に整合=米クリー

ワールド

パキスタン、自爆事件にアフガン関与と非難 「タリバ

ビジネス

今年のドル安「懸念せず」、公正価値に整合=米クリー
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中