ニュース速報

ビジネス

NZ中銀、住宅ローン規制再開の意向 マイナス金利観測が後退

2020年11月25日(水)11時47分

FILE PHOTO: A security guard stands in the main entrance to the Reserve Bank of New Zealand located in central Wellington, New Zealand, July 3, 2017. Picture taken July 3, 2017. REUTERS/David Gray

[ウェリントン 25日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は25日、国内で住宅バブルに対する懸念が強まっていることを受けて、住宅ローンの規制を来年再開する意向を示した。

中銀は新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた国内経済への資金フローを促すため、住宅ローンのローン資産価値比率(LVR)規制を来年5月まで1年間解除していた。

ただ、歴史的な低金利、LVR規制の解除、慢性的な住宅不足を背景に住宅価格は大幅に値上がりしている。

中銀は25日公表した金融安定報告で「LVR規制を来年3月から再導入する方針だ。高リスク融資の増加継続に歯止めをかけ、将来の潜在的な住宅価格に対する銀行の耐性を維持することが狙いだ」と表明した。

中銀は、リスクの高い融資の動向を注視し、LVRを元の水準に戻すことについて12月に意見を募集する考えを示した。

NZのロバートソン財務相は24日、中銀に対し、付託された金融政策権限の一環として住宅市場の安定を考慮するよう提案したことを明らかにした。同国の住宅価格は過去10年で約90%急騰している。

<マイナス金利観測が後退>

会見した中銀のオア総裁は、政府と協力して住宅価格の問題を解決していくと表明。市場では、中銀がマイナス金利を導入する可能性が低下したとの見方が強まっている。

総裁は、ロバートソン財務相の提案について、検討を進めるが、金融の安定維持という中銀の目標にどのような影響が出るか調査する必要があると指摘した。

総裁は「住宅価格を手の届く範囲にすることについて、長期的な解決策を検討するため、迅速かつ建設的にオープンな姿勢で政府と協力する方針だ」と述べた。

24日のNZドルは政府の提案を受けて急伸。市場では中銀がマイナス金利の導入を見送るとの観測が強まっている。

ANZ銀行のチーフエコノミスト、シャロン・ゾルナー氏は「ニュースを見ると、中銀が政策金利をマイナスにしない可能性が高まっている」と述べた。

オア総裁は、マイナス金利について、導入が正当化される場合に運用する準備はできていると述べた。

総裁は、中銀の金融緩和を擁護。住宅市場は以前から問題になっていたが、金融を緩和していなければ、新型コロナの流行を背景に失業率が悪化し、不透明感がさらに増していたとの認識を示した。

総裁は「(NZ)経済は地球で最も耐性の強い経済の1つであることが判明した。これは素晴らしい結果だ」と述べた。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国製半導体に関税導入へ 適用27年6月に先送

ワールド

トランプ氏、カザフ・ウズベク首脳を来年のG20サミ

ワールド

米司法省、エプスタイン新資料公開 トランプ氏が自家

ワールド

ウクライナ、複数の草案文書準備 代表団協議受けゼレ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 9
    砂浜に被害者の持ち物が...ユダヤ教の祝祭を血で染め…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中