ニュース速報

ビジネス

菅首相の改革推進を評価、日銀は物価目標見直しを=IMF幹部

2020年10月21日(水)22時34分

国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のオッドパー・ブレック副局長は、ロイターのインタビューに応じ、菅義偉首相(写真)がアベノミクスを継承するとともに日本経済の再活性化に向けて改革を推進する方針を評価した。ジャカルタで21日代表撮影(2020年 ロイター)

[東京 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のオッドパー・ブレック副局長は、ロイターのインタビューに応じ、菅義偉首相がアベノミクスを継承するとともに日本経済の再活性化に向けて改革を推進する方針を評価した。

ブレック氏は、日銀に対しては、消費者物価の前年比上昇率2%という「物価安定の目標」の柔軟化に向けて検討すべきとの見解を改めて示し、「見直しをすれば、日銀は、目標へのコミットメントの再確認と、必要に応じて政策の柔軟性を高めるというどちらの機会を得ることになる」と述べた。

安倍普三氏の後を引き継ぎ先月首相に就任した菅義偉首相は、アベノミクスの3本の矢のうちの第1と第2の矢である大規模な金融・財政政策を継承すると表明するとともに、中小企業の生産性向上やデジタル化などに向け構造改革を推進すると約束した。

ブレック氏は「構造改革という『第3の矢』が勢い付けば、日本経済をより長期的な成長軌道に乗せることに寄与する。そのためにも、デジタル経済の推進、地方経済の再生、地方銀行問題に対処する改革の優先度を高くすべきだ」と述べた。

女性のキャリアアップ機会の拡大、テレワーク推進などの労働市場改革も引き続き優先課題としなければならないと指摘した。

<日銀は柔軟な目標が必要>

日本経済は、コロナ禍に見舞われる前から昨年の消費税増税の影響を受けていた。

ブレック氏は、景気見通しの不確実性は高いとして、日銀は緩和政策の拙速な解除は避け、回復が本格化するまで待つべきだと指摘。

必要になれば、特別融資プログラムの拡充や長期金利目標の引き下げ、ETF買い入れの拡大など追加措置を取ることもあり得ると述べた。

より長期的には、日銀は金融システムのリスクへの対応余地を広げるために物価安定目標や政策枠組みを見直しを考えるべきと指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

グーグル、ドイツで過去最大の投資発表へ

ワールド

マクロスコープ:高市「会議」にリフレ派続々、財務省

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中