ニュース速報

ビジネス

新車販売台数、今後10年で1割減少へ 高齢化などで=内閣府

2020年09月16日(水)15時29分

内閣府は16日、人口減少を踏まえた新車販売台数は今後10年で1割程度減少するとの試算を公表した。現状での首都圏での自動車保有台数の減少傾向や、人口減少に伴う自動車市場の縮小など、いずれの面からみても1割程度の減少は避けられないとしている。

[東京 16日 ロイター] - 内閣府は16日、人口減少を踏まえた新車販売台数は今後10年で1割程度減少するとの試算を公表した。現状での首都圏での自動車保有台数の減少傾向や、人口減少に伴う自動車市場の縮小など、いずれの面からみても1割程度の減少は避けられないとしている。日本経済の屋台骨である自動車産業の国内販売は今後急激な需要減少を余儀なくされそうだ。

分析によると、ここ数年は月間36万台前後で推移していた新車販売台数は、2019年後半から大きく減少している。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減や台風による営業機会の喪失などを背景に昨年10月は大幅減少となったものの、その後は緩やかながらも持ち直していたが、今年3月以降、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、販売台数も急減した。緊急事態宣言明けの6月には増加に転じたものの、依然として前年比ではマイナスとなっている。

内閣府では、今後新車販売台数がどこまで回復するかは、交通インフラが整っているため相対的に世帯あたり自動車保有台数が少ない東京への人口流入や、自動車保有の少ない高齢世帯数が影響するとして、将来推計を行っている。

それによると、現状では首都圏の1世帯当たり自動車保有台数は0.71台。その他地域の1.24台に比べて少なく、首都圏の世帯当たり保有台数には低下傾向がみられることから、このままいけば2030年度までに首都圏の保有台数は0.64台へと低下すると試算。新車販売台数は、19年度の417万台から30年度には年間377万台まで減少、19年度比で9.6%減少するとしている。

また、人口高齢化の観点から販売台数を推計すると、新車販売台数は30年度は359万台と19年度比13.9%減少する。

これらのいずれの観点からも、新車販売台数は今後10年程度で1割前後の減少率になっているとしている。

他方、新車販売台数の上振れ要因として、テレワークの普及などを背景とした働き方・暮らし方の変化によって地方への人口移動増が進む場合、あるいは自動運転などにより高齢世帯でも自動車保有が可能となるなど、社会経済の変化もあり、試算結果は幅をもってみることが必要としている。

(中川泉 )

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、和平合意後も軍隊と安全保障の「保証」必

ビジネス

欧州外為市場=ドル週間で4カ月ぶり大幅安へ、米利下

ビジネス

ECB、利下げ急がず 緩和終了との主張も=10月理

ワールド

米ウ協議の和平案、合意の基礎も ウ軍撤退なければ戦
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中