ニュース速報

ビジネス

豪経済は想定より良好、マイナス金利や一段緩和の可能性低い=中銀総裁

2020年05月28日(木)13時02分

 5月28日、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のロウ総裁は、国内の新型コロナウイルス感染状況が当初の予想より落ち着いていることから景気の落ち込みは想定ほど深刻にならない見込みだとの認識を示した。写真は2017年3月、シドニーで撮影(2020年 ロイター/David Gray)

[シドニー 28日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のロウ総裁は28日、国内の新型コロナウイルス感染状況が当初の予想より落ち着いていることから景気の落ち込みは想定ほど深刻にならない見込みだとの認識を示した。このため、マイナス金利の導入や社債買い入れなど一段の量的緩和が必要になる可能性は低い、と述べた。

政府の新型コロナ対応を検証する議会委員会で証言した。

オーストラリアは新型コロナの感染拡大抑制に成功しており、感染者数は約7100人、死者は103人と他国と比べてかなり少なく、想定よりも早く経済活動の再開が進んでいる。

ロウ総裁は、無制限の量的緩和プログラムなど、経済への影響を軽減するため3月半ばに打ち出した措置が「予想通り」機能しているとの見解を示した。

「(一連の措置は景気の)回復に向けて必要なつなぎを提供する一助になっている」とし、「回復の形や時期は行動制限の解除時期だけでなく、豪国民が自らの健康や家計について抱く自信にも左右される」と指摘した。

ロウ総裁は、第2・四半期の雇用の落ち込みが前年比15%にとどまる可能性があるとの見通しも示した。当初は20%減と見込んでいたが、新型コロナで最大の打撃を受けた業界で就業者数が増加する兆しが見られるとした。

ただ、経済の見通しは依然として非常に不透明だとあらためて強調。今後長期間にわたって政策金利を史上最低の0.25%に維持することを示唆した。

RBAは8日に公表した四半期金融政策報告で、2020年通年で豪経済は6%のマイナス成長になるとの見通しを示した。

ロウ総裁は、この見通しを発表して以降の状況は想定より良好だと指摘。「国としての保健上の結果が当初の予想より良好となっているため、景気の落ち込みは想定ほど深刻にならない可能性がある。どの程度早急に信頼感を回復できるかが多くを左右する」と述べた。

その上で「さらに措置を講じる必要があれば、国債買い入れ額を拡大することは可能だ。ただ現時点ではその必要性は感じない」とし、マイナス金利導入は「まずあり得ない」と付け加えた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円安、物価上昇通じて賃金に波及するリスクに警戒感=

ビジネス

ユーロ圏の銀行融資低迷、インフレ期待低下 利下げの

ビジネス

ドル一時急落、154円後半まで約2円 介入警戒の売

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中