ニュース速報

ビジネス

中国製造業PMI、12月は2カ月連続の50超え 貿易摩擦緩和で

2019年12月31日(火)15時00分

 12月31日、中国国家統計局が発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と、11月から横ばいで、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を2カ月連続で上回った。中国浙江省の港で5月撮影。提供写真(2019年 ロイター)

[北京 31日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と、11月から横ばいで、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を2カ月連続で上回った。アナリスト予想の50.1もやや上回った。

季節的な需要や米中通商協議の進展の兆しを背景に生産や受注が好調で、生産は約1年ぶりのペースで拡大した。新規受注の伸びも、11月に記録した最近の高水準をわずかに下回る水準を維持した。

こうした状況は中国経済が当初の予想よりしっかりとした足取りで2019年を終えることを示唆しているが、来年もモメンタムが続くかどうかを巡っては懸念が根強い。

野村のアナリストは統計発表後のリポートで「製造業PMIの強さが続いたことは市場にとって明るい材料だが、持続しない可能性があり、経済はおそらくまだ底入れしていないだろう」との見方を示した。

それでも野村は、最近の景気の安定を踏まえて第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率予測を5.8%から6.0%に上方修正した。

統計局の上級統計学者Zhao Qinghe氏は12月のPMIの強さについて、1月下旬の春節(旧正月)休暇を控えた需要や生産の拡大によるものだと分析した。

12月は繊維や医薬品、自動車、通信機器などの業界で生産が比較的高水準となった。企業が春節休暇前の生産ニーズに対応するため在庫を持つことに比較的前向きになっている状況も示された。

12月はこのほか、米中通商協議の進展も見られ、中国の製造業者は海外から新規受注を獲得した。

12月の新規輸出受注指数は2018年5月以来初めて50を上回った。

南西証券のアナリストは、「世界経済の底入れや米中貿易摩擦の緩和が世界的な需要改善につながった。12月の中国の輸出は回復したとみられている」と指摘。「需要の改善が向こう1、2四半期の経済成長を支えるだろう」との見方を示した。

ただ、依然として弱さを示す兆候もみられる。輸入指数は49.9と、前月から上昇したものの、引き続き50を下回った。雇用削減も続いた。

12月の非製造業PMIは53.5に低下。11月は54.4で、8カ月ぶり高水準を記録していた。

冬場の需要落ち込みにより、建設活動を示す指数が前月の59.6から56.7に低下した。ただ統計局は、景気支援のためのインフラプロジェクトに伴い土木事業の新規契約は拡大したと指摘した。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中