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緩和下の財政政策、景気刺激効果がより強力に=黒田日銀総裁
12月26日、日銀の黒田東彦総裁(写真)は、金融政策と財政政策との連携について「中央銀行が物価安定目標を実現するために金融緩和政策を推進している状況で、政府が財政政策を活用する場合には、相乗効果によって景気刺激効果はより強力なものになる」との認識を改めて示した。写真は19日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 26日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は26日、日本経団連の審議員会で講演し、金融政策と財政政策との連携について「中央銀行が物価安定目標を実現するために金融緩和政策を推進している状況で、政府が財政政策を活用する場合には、相乗効果によって景気刺激効果はより強力なものになる」との認識を改めて示した。
政府が12月に閣議決定した経済対策についても「日銀が強力な金融緩和を推進するもとで、景気の拡大基調を維持するために大きな効果を持つ」と強調した。
ただ「最近の議論の中には、ポリシー・ミックスを、中央銀行による財政ファイナンスと混同しているものもみられる」と懸念も示し、「金融政策と財政政策との連携を考える際には、それぞれの役割分担を明確にすることが重要だ」と語った。
その点、政府と日銀が2013年1月に公表した「共同声明」は「この点を明確に意識して作成されている」とし、「政府と日銀が両者の役割を明確化したうえで、その実現に向けて、それぞれが自主性を持って取り組むという共同声明の枠組みは、極めて有効に機能している」と評価した。
<不確実性が幾分緩和>
来年の世界経済については「不確実性は大きいものの、来年半ばにかけて緩やかに成長率を高めていく」との見通しを示した。その理由として、1)米中通商交渉の進展など、世界経済を巡る不確実性が幾分緩和している、2)今年の世界経済の足を引っ張っていた、グローバルなITサイクルが持ち直してきている、3)各国のマクロ経済政策の効果──の3点を挙げた。
もっとも、米中通商交渉は対立点が残っているほか、新興国経済の不確実性や地政学的リスクなどにも注意が必要だとして「引き続き、下振れリスクが大きい」とも付け加えた。
日本経済については「内需は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、増加基調をたどる」と従来の見方を繰り返し、「これまでの世界経済の減速や消費税率引き上げ、自然災害の影響から、内需の増勢はいったん鈍化するものの、大きな落ち込みは回避されると見込んでいる」と語った。
黒田総裁は賃金と物価の循環についても言及。「企業収益が持続的に増加していくためには、賃金と物価の好循環が働き続けることが重要だ」と指摘する一方で、現状、「賃金上昇と物価上昇の好循環は、なお力強さに欠けている」と厳しい見方を示した。その背景については「デフレのもとで長期にわたり厳しい雇用環境を経験したことで、労使ともに賃金よりも長期的な雇用の安定を優先するという行動様式が定着し、賃金の上昇局面になっても、それが根強く残っていることがある」と説明した。
*内容を追加しました。
(志田義寧 編集:青山敦子、内田慎一 )