ニュース速報

ビジネス

アングル:世界の市場、今年は投資家にとって過去最高の年か

2019年12月24日(火)11時36分

 貿易戦争、地政学上の混乱、世界的な過剰債務といった逆風をすべてはねのけ、2019年は投資家にとって過去最高の年になったのかもしれない。写真はニューヨーク証券取引所で6月撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

[ロンドン 20日 ロイター] - 貿易戦争、地政学上の混乱、世界的な過剰債務といった逆風をすべてはねのけ、2019年は投資家にとって過去最高の年になったのかもしれない。

すさまじい数字だ。世界の株式時価総額は10兆ドル以上膨らみ、債券は絶好調、石油は約25%も上昇した。かつて危機が発生したギリシャとウクライナの市場が最も好調で、金相場も輝いた。

S&P総合500種株価指数<.SPX>と、約50カ国をカバーするMSCI世界株価指数<.MIWD00000PUS>はそれぞれ30%と24%上昇し、過去最高値を更新。欧州、日本、中国、ブラジルの株価がすべて、ドル換算で20%以上値上がりした。

ほぼすべての市場が下落した2018年が、鏡映しになっただけかもしれない。しかし重要な市場のけん引役が2つあったのも確かだ。

ひとつは中国が景気対策に本腰を入れたこと。もうひとつは、10年強ぶりに利下げを実施した米連邦準備理事会(FRB)を先頭に、先進国の中央銀行が金融政策の方向を転換したことだ。

ジュピターのアブソリュート・リターン・ファンドを運用するジェームズ・クルニー氏は「今年はFRBが味方についてくれた感じだ」と語る。

この結果、債券市場は跳ね上がった。米国債の利回りは最大120ベーシスポイント(bp)下がり、投資リターンは9.4%に達した。昨年第4・四半期、利回りが既に40bp近く低下していたうえでのことだ。

欧州中央銀行(ECB)も政策姿勢を転換し、ドイツ国債のリターンはユーロ建てで約5.5%と、過去5年間で最高となった。10年物の利回りは3月、2016年以来初めてマイナスに沈み、9月にはマイナス0.74%まで低下した。

商品市場を見ると、原油価格は約25%上昇。この要因と配当ルールの変更を背景に、ロシア株は40%上昇して上昇率が世界最高となり、通貨ルーブルの上昇率も世界トップ3に入った。

金属はまちまちだった。貿易摩擦の激化で銅は年央に大きく下落し、その後4%しか上昇していない。アルミニウムは2%下落した。しかしパラジウムは55%も急騰し、金は15%上昇して10年以来で最高の年となった。

投資家を最も仰天させるのは、今年世界で最も上昇した株にギリシャの銀行株が入っていることかもしれない。ユーロ圏債務危機時とは隔世の感がある。

ギリシャ最大手ピレウス銀行の株価は250%も上昇した。ただ、440%も暴騰した米動画ストリーミング用機器メーカー、Roku(ロク)株の前にはそれさえもかすむ。

<ファングタスティック>

IT企業は、今年も全般に堅調を保った。米アップルは最近、時価総額世界トップの座をサウジアラビアの国営石油大手アラムコに譲ったが、今年77%も上昇したのだから上々だろう。

「FANG」を構成する米フェイスブックは57%、米グーグルの親会社アルファベットは30%、米ネットフリックスは24%、米アマゾンは19%、それぞれ上昇した。米マイクロソフトは53%も値上がりした。

中国のCSI・IT株指数<.CSIINT>も64%上昇し、電子商取引のアリババは53%上がった。

暗号資産(仮想通貨)は相変わらず乱高下した。ビットコインは6月に260%上昇したが、その後、年初来の上昇率は85%程度に縮小した。

高利回り債(ジャンク債)、社債、現地通貨建て新興国債券といったリスク資産はすべて11―14%上昇。ウクライナのドル建て債とギリシャのユーロ建て債はいずれも30%超値上がりした。

英国では欧州連合(EU)離脱を巡る混乱が続き、首相交代、総選挙と慌ただしい毎日だったが、英国債のリターンは4.5%に達した。ポンドも今四半期に6%近く上昇しており、09年以来で最高の四半期となる可能性がある。

対照的に、FRBの政策転換と貿易摩擦の緩和を背景に、第4・四半期はドル指数<.DXY>にとって過去1年半で最悪の四半期となったかもしれない。ただ、年初に比べるとドルはなお1.5%の上昇を保っているため、ユーロは過去6年で5度目の下落年となりそうだ。

いつものように、大きく揺れ動いたのは新興国市場だった。アルゼンチンのペソとトルコのリラは昨年に続いて売り込まれた。

これに対し、新大統領が就任して改革を打ち出したウクライナの通貨フリブニャは19%上昇した。ロシアのルーブルは11%、エジプト・ポンドは11.7%の上昇だった。

(Marc Jones記者)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ローム、デンソーの株式取得提案を特別委で「真摯に検

ビジネス

10ー12月期の需給ギャップ、2四半期ぶりプラス 

ビジネス

グーグル、複数の中国企業とデータセンター向け冷却装

ビジネス

消費税のさらなる増税は考えていない=高市首相
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中