ニュース速報

ビジネス

米FRB、金利据え置き 来年は緩やかな成長継続を予想

2019年12月12日(木)09時09分

米連邦準備理事会(FRB)は10─11日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定した。ワシントンのFRB本部で昨年8月撮影(2019年 ロイター/Chris Wattie)

[ワシントン 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は10─11日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定した。来年の米大統領選まで緩やかな経済成長が続き、失業も低水準にとどまるとの見方を示し、金利が現行水準にとどまる公算が大きいことを示唆した。

FRBが今回新たに公表したFRB当局者の金利・経済見通しでは、17人中13人が少なくとも2021年まで金利変更はないとの見通しを表明。4人が来年に1回の利上げが実施されるとの見方を示した。来年は利下げが適切となるとの見方を示した当局者はいなかった。

決定が全会一致となったのは4月30日─5月1日のFOMC以来初めてとなる。

パウエル議長は記者会見で「世界情勢、および現在見られているリスクにもかかわらず、FRBの経済見通しはなお良好」とし、「今年は経済の緩衝材的そして多少の保険的な対応として政策スタンスを調整した。これが景気を支援し、見通しの維持に寄与した」との認識を示した。

今年は通商問題で市場が荒れたほか、米国債市場で長短利回りの逆転が発生しリセッション(景気後退)リスクが台頭するなど困難な1年だったが、FRBは「ソフトランディング」を実現させたと実感していることが示唆された。

パウエル氏は低い失業率とインフレとの関係は「非常に薄い」とFRBは捉えていると説明。「インフレについてはあまり心配する必要はない」とし、物価が継続的に速いペースで上昇しない限り、利上げは正当化されないとの見方を示した。

FRBはFOMC声明で、米中貿易戦争が続くなか、世界的なリスクを引き続き注視する姿勢をにじませた。また、米国民のインフレ期待が下振れる可能性にも留意する考えを示した。

FRBが今回示した最新の経済見通しでは、失業率はFRBが長期的に持続可能とする水準をさらに3年間下回り続ける見通しで、3年後のインフレ率はFRBの目標である2%に一致するかやや上回るという予想が大勢となった。

パウエル議長は「物価に不当な上昇圧力を掛けずに失業率が長期間にわたりかなりの低水準で推移し続けられることはこれまでに学んだ」とし、1990年代にFRBが景気後退(リセッション)に対する保険として利下げを行い、その後、労働市場の引き締まりで望まざる物価上昇が引き起こされるのを防止するために利上げを実施したことに言及し、現在は1990年代と比べると「利上げの必要性は低下している」と述べた。

事実、最新の経済見通しでは、金利は少なくとも2022年までの期間、2.5%の中立金利を下回ると見込まれている。

FOMCを受け、米株価は小反発。米国債利回りが低下したほか、外国為替市場では主要6通貨に対するドル指数が4カ月ぶりの水準に低下した。

前回10月のFOMC後の記者会見でパウエル議長は、追加利下げには見通しの「大幅な再評価」が必要になると表明。今回の記者会見でもこの表現は使ったが、深入りはしなかった。

グレンミード・トラストのプライベートウエルス部門最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・プライド氏は「今回のFOMC声明には金融政策の道筋を巡る新たな情報はほとんど含まれていなかった」と指摘。「インフレが大幅に上振れしない限り、FRBは金利を据え置くというのが今回のFOMCで示されたメッセージだ」と述べた。

FRBは今年は7月、9月、10月に利下げを決定。パウエル議長はこの3回の利下げは「力強い」措置で、影響が完全に経済に行き渡るには時間がかかるとの見方を示した。

FRBはFOMC声明で、「現行の金融政策の運営姿勢が、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の状況、委員会の対称的な目標である2%に近いインフレ率を支えるために適切だと判断する」と表明。 前回10月のFOMC声明では「この見通しに対する不透明感は残る」としていたが、今回の声明からこの部分は削除された。

米経済情勢については「労働市場が力強く推移し、経済活動が緩やかなペースで拡大していることを示している。雇用の伸びは概してここ数カ月堅調で、失業率は低いままだった」と指摘。ただ「家計支出は力強いペースで増加したが、企業の設備投資と輸出は弱いままだ」との見方も示した。

FRBが今回示した最新の経済見通しでは、経済成長率の予想中央値が2020年は2%、21年が1.9%。失業率は20年は3.5%と現在の水準にとどまり、21年は上昇するものの3.6%にとどまるとの見通しが示された。20年のインフレ率は1.9%にしか上昇しないとの見方が示された。

*情報を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀総裁、FRB独立「世界にとって重要」 保

ビジネス

企業の資金需要、1月は改善 利上げ決定も先行きに変

ビジネス

ロンドン、金融センター調査で6年連続世界トップ N

ワールド

グリーンランドの帰属巡りトランプ氏と協議せず=NA
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 3
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている「とてつもなく巨大な」生物...その正体は?
  • 4
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 10
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中