ニュース速報

ビジネス

日産が下方修正、今年度最終益は前年比7割減 世界で販売低迷

2019年11月12日(火)20時00分

 11月12日、日産自動車は2020年3月期通期の連結業績予想と世界販売計画を下方修正した。写真は東京モーターショーに出展した日産の電気自動車リーフ。10月24日、東京で撮影(2019年 ロイター/Edgar Su)

[横浜市 12日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>は12日、2020年3月期通期の連結業績予想と世界販売計画を下方修正した。19年4―9月期(上期)は主要市場すべての販売が前年同期から減少した。通期の純利益予想は前年比65.5%減の1100億円と従来の1700億円から減額、10年3月期(約424億円)以来、10年ぶりの低水準になる見通し。

業績悪化を受け、中間配当は前年同期から18.5円減配となる10円とした。当初の年間配当は1株当たり40円(前期は57円)を想定していたが、期末配当は未定のままとした。

通期の営業利益は52.9%減の1500億円で、従来の約2300億円から800億円下方修正した。修正後の営業利益予想は、リフィニティブが集計したアナリスト22人の予測平均値1546億円をやや下回っている。為替影響で800億円、販売不振などで700億円、営業利益を押し下げる。

通期の前提為替レートは1ドル=107円(従来は110円)、1ユーロ=120円(同129円)にそれぞれ円高方向に見直した。

通期の売上高予想も従来の11兆3000億円から8.4%減の10兆6000億円と下方修正した。

通期の世界販売計画は524万台と従来から30万台引き下げた。北米を171万台と7万5000台下げ、中国は156万台と15万台減らした。日本は58万台、欧州は57万台といずれも従来から3万台それぞれ引き下げた。

<リストラ策見直し、12月発足の新経営陣が判断>

決算会見は当初、軽部博最高財務責任者(CFO)が出席する予定だったが、12月1日付で新CFOに就くスティーブン・マー常務執行役員が登壇し、英語で説明した。

マー氏は、通期予想を下方修正した理由について「事業改革と収益力のリカバリーを進めているが、上期の進捗が十分でない」と話し、為替の円高傾向や全体需要の減少を考慮したと語った。今後の配当政策については「新経営陣の判断が必要になるので後日説明する」と述べた。

上期販売実績は6.8%減だった。主要地域すべて低迷したが、利益面では「販売の質の向上に向けた取り組みが効果を出し始めた」と振り返り、課題の米国も「一貫して販売の質が改善している。月次ではなく、四半期で調整するイメージ」と指摘。「セントラ」など今後の新車投入で販売奨励金(インセンティブ)は「減少トレンドが続く」との見方を示した。

構造改革の進捗や追加のリストラ策に関しては「今日は決算発表。構造改革は新経営陣にアップデートしてもらいたい」と述べ、詳しい言及を控えた。ただ、米国事業の改善などは順調に進んでいるが、現在の世界経済状況を考慮すると、「いろいろ見直す必要がある」と語った。

4―9月期の連結決算は、純利益が前年同期比73.5%減の654億円、営業利益は同85%減の316億円で、売上高は同9.6%減の5兆0030億円だった。

*情報を追加しました。

(白木真紀 編集:内田慎一 )

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中