ニュース速報

ビジネス

米上院指導部、歳出上限3000億ドル引き上げで合意 財政赤字拡大へ

2018年02月08日(木)10時52分

 2月7日、米議会上院の共和・民主両党指導部は7日、今後2年間の予算方針を巡り超党派で合意した。連邦歳出上限を3000億ドル近く引き上げる。共和党のマコネル上院院内総務(写真)は「法案は、議会指導部およびホワイトハウスによる大掛かりな交渉の末、誕生した」と語った。6日撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 7日 ロイター] - 米議会上院の与野党指導部は7日、2018会計年度(18年9月まで)と19会計年度の予算方針を巡り、歳出上限を3000億ドル近く引き上げることで合意した。予算案に絡み与野党が瀬戸際の攻防を繰り広げるのを阻止する狙いがあるが、財政赤字の拡大は避けられない。

上院の共和、民主両党の指導部が合意を発表し、ライアン下院議長が支持を表明した。ただ、民主党のペロシ下院院内総務は、幼少期に親と不法入国した若者「ドリーマー」の救済策法案の採決をライアン議長が認めない限り、合意に反対すると述べた。

合意によると、11年の予算管理法で設定された国防費などの上限が引き上げられるほか、政府債務上限を2019年3月まで引き上げることも盛り込まれた。財務省はこれまで、上限が引き上げられなければ、財政資金が3月上旬に底をつくと警告してきた。

12月に成立した税制改革の大型減税と歳出増で財政赤字がさらに膨らむことになる。赤字は17会計年度に6660億ドルに達し、超党派の非営利組織「責任ある連邦予算委員会」は19会計年度に1兆ドルを突破すると試算している。

関連法案はトランプ大統領の署名に先立ち、上下両院を通過する必要がある。上院では与野党の支持を得ているもようだが、下院では財政規律派から反対の声が上がる可能性がある。

米軍増強を公約に掲げてきたトランプ大統領はツイッターで予算合意に支持を表明。「共和と民主は米軍を支援し、この法案を支持するべきだ」と投稿した。

共和党のマコネル上院院内総務は「法案は、議会指導部およびホワイトハウスによる大掛かりな交渉の末、誕生した」と語った。

民主党のシューマー上院院内総務は今回の合意について、「長い間議会を混乱させ、中間所得層を阻害してきた歳出危機の繰り返しを断ち切ることになる」と評価した。

合意には、災害支援、インフラ整備、鎮痛剤(オピオイド)乱用問題への対応向け資金提供のほか、3月23日までのつなぎ予算案も含まれる。

歳出増について、議会幹部筋は歳出削減や新たな税収で相殺されることはないと指摘した。連邦赤字の拡大を意味する。

「責任ある連邦予算委員会」のマヤ・マクギネス委員長は、「過去最高水準にある債務や1兆ドル突破が近い財政赤字にもかかわらず、議会は財政健全性への影響を気にすることをやめてしまった」と批判した。

債券市場では、予算方針を巡る与野党合意を受けて10年債利回りが上昇。経済成長が加速し、国債発行が増加する可能性があるとの見方を反映した。

議会関係筋によると、合意で非国防支出を1310億ドル増やすほか、インフラ支出の200億ドルを盛った。児童医療保険プログラム(CHIP)への支出延長期間を、現行の6年間から10年間にする。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中