ニュース速報

ビジネス

焦点:米企業、貿易摩擦懸念相手の中国で稼ぐ現実

2017年08月15日(火)08時33分

 8月14日、米国と中国は貿易摩擦が激化しかねず、政治的な関係は雲行きが怪しい。だが米企業にとって、今年は中国市場が着実な収益源となっているのが現実だ。写真は、上海にあるスターバックスとマクドナルドの店舗。2014年7月撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[上海 14日 ロイター] - 米国と中国は貿易摩擦が激化しかねず、政治的な関係は雲行きが怪しい。だが米企業にとって、今年は中国市場が着実な収益源となっているのが現実だ。

米主要企業の第2・四半期決算は、建設機械から半導体、コーヒーに至る幅広い業種で、中国事業の好調が全体の利益と売上高を押し上げる構図が見られた。

追い風になったのは、約7%と米国の数倍も高い中国の経済成長率と住宅ブーム、ドル安など。習近平国家主席が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に伴うインフラ整備計画も米企業の売上高増加につながった。

建設機器大手キャタピラーは、中国市場の好調がけん引する形で第2・四半期のアジア・太平洋地域の売上高が前年同期比25%増加。上半期の中国顧客向け掘削用大型機械の出荷は2倍以上に増えた。キャタピラーのブラッド・ハルバーソン最高財務責任者(CFO)は投資家向け説明会で「中国の需要は年内いっぱい強さを維持すると見込んでいる」と述べた。

半導体のスカイワーク・ソリューションズの四半期決算は、中国のスマホメーカーである華為技術(ファーウェイ)向けの需要などが支えとなり、20%の増収。ゴールドマン・サックスによると、スカイワークは中国の売上高比率が85%程度に達している。

通信用半導体大手クアルコムも先月、中国市場は引き続き同社にとってしっかりした成長が期待できるとの見通しを示した。クアルコムは売上高の3分2程度を中国市場が占める。

ルースホールド・グループの最高投資責任者(CIO)のジム・ポールソン氏は「この間の中国の成長率は米国に比べてとても高く、為替相場も米企業に有利な方向に振れた」と話す。

中国で事業を展開する米企業は、市場へのアクセスを十分に認められていないことや地元企業との不当な差別的待遇に不満を漏らす。それでも総じて中国事業に対する見通しは明るい。米中両国の関係にきしみが出てきている中でも、在上海米商工会議所が7月に公表したリポートによると、今年の売上高が増加すると予想した中国に拠点を置く米企業割合は82%で、1年前の76%を上回った。

バンク・オブ・アメリカ傘下のUSトラストのテーマ別投資責任者ジョー・クインラン氏は「全般的に多くの米国の財・サービスにとって中国は依然として成長市場であり、中国の消費者が国内市場をどんどん拡大させている」と語り、これらの消費者に製品やサービスを提供する米企業にとっては非常にプラスとなる動きだとの見方を示した。

もっとも、好調な中国市場の恩恵を受けているのは米企業ばかりではない。キャタピラーと競合するコマツ<6301.T>と日立建機<6305.T>の決算からも重機の需要の強さが読み取れる。コマツの4─6月期の中国での売上高はほぼ倍増した。

一方、中国市場においてもいくつかのセクターでは外国企業が苦戦を続けている。大手自動車メーカーの決算によると中国市場で売上高は伸びたが、利幅は圧縮された。ゼネラル・モーターズ(GM)は四半期決算で、業績は好調だったものの価格面で課題に直面していると説明した。

また一部専門家からは、中国の経済や市場の活況がいつまで続くか不安視する声も聞かれる。ノムラ(香港)のチーフ中国ストラテジスト、ヤン・ツァオ氏は「中国経済は不動産市場と輸出の伸びが力強い回復の原動力となっているが、いずれも持続性が乏しい」と指摘。中国の経済成長は第4・四半期に鈍るとみている。

(Adam Jourdan記者)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米12月小売売上高、予想外の伸び悩み 個人消費に減

ワールド

USMCA巡る加との交渉困難に、インドネシアと近く

ビジネス

FRB金利は「中立」水準、当面据え置きの公算=クリ

ビジネス

パラマウント、WBD買収条件引き上げ 違約金など負
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 5
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    台湾侵攻を控えるにもかかわらず軍幹部を粛清...世界…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中