ニュース速報

ビジネス

出光創業家、昭和シェル株40万株取得 合併阻止狙い奇策

2016年08月03日(水)19時21分

 8月3日、出光興産の創業家代理人の浜田卓二郎弁護士が、都内で会見し、経営陣が計画する昭和シェル石油との経営統合を阻止するため、創業家側が昭シェル株を40万株取得したと明らかにした。写真は都内ガソリンスタンドで2015年11月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 3日 ロイター] - 昭和シェル石油<5002.T>との経営統合に反対する出光興産<5019.T>創業家が対抗策を打ち出した。創業家が昭シェル株を取得。これにより出光経営陣が進める合併手続きが著しく困難になると創業家代理人は説明している。

創業家の出光昭介名誉会長の代理人は3日、昭介氏が昭和シェルの発行済み株式の0.1%に当たる40万株を市場を通じて取得したと発表した。具体的な取得時期は明らかにしなかったが、同日の終値で計算した場合の取得金額は3億8000万円近くになる。

昭和シェルとの統合に反対する昭介氏が同社の株を買う狙いは、出光興産による英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)の持つ昭和シェル株33.3%の取得を阻止することにある。両社の合併はこのRDSの持ち分取得が大前提となる。

創業家代理人によると、TOB(株式公開買い付け)ルールにおいては、大株主である創業家は出光興産の特別関係者とみなされ、昭介氏の持ち分も含めてカウントされる。

その結果、出光興産はRDSの持ち分買取で昭シェル株の3分の1超を保有することになり、買い取りにおいては、RDSとの相対取引でなく、すべての株主を対象にしたTOBをする必要がある。

経営陣にとって悩ましいのは、RDSと合意した1株当たりの買取価格1350円(3日の終値は939円)でTOBをした場合、他の多くの株主も応じ、RDSの持ち分をすべて買い取ることができなくなる可能性があることだ。

買付株数に上限を設けない場合は、他の株主の持ち分と共にRDSの株すべてを買い取ることができるが、必要な費用は5000億円と巨額になる。また、TOBを通じた全株取得は両社がうたう「対等な精神に基づく経営統合」にそぐわない。

「株式取得により合併に反対する意思を伝え、事態を早期に収束させたい。意地悪をしているつもりはない」と昭介氏の代理人を務める浜田卓二郎弁護士は記者会見で述べた。

代理人側は、インサイダー取引に該当する恐れもあることから、今後、創業家は出光興産経営陣との話し合いには応じないとしており、石油業界の大型再編の行方はさらに混沌としてきた。

創業家の動きについて出光興産は、現時点では事実関係の詳細を確認できていないため、今後調査のうえ対応を検討していく、とのコメントを発表。さらに、昭和シェル石油との経営統合が最善の策と確信しており、今後も大株主との協議を継続し、統合会社の設立に向けて取り組んでいくとした。

*出光興産のコメントを追加しました。

(浦中大我 浜田健太郎 編集:山川薫)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南山」、そして「ヘル・コリア」ツアーへ
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 6
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 7
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    日経平均5万4000円台でも東京ディズニー株は低迷...…
  • 10
    「こんなのアリ?」飛行機のファーストクラスで「巨…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中