ニュース速報

ビジネス

米FRB、金利据え置き 年内2回の利上げなお想定

2016年06月16日(木)06時43分

 6月15日、米FOMCは政策金利の据え置きを決定した。写真はイエレンFRB議長。ワシントンで3月撮影(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定した。ただ、労働市場は再び力強さを増すとの見方を示し、年内2回の利上げを実施するとの姿勢は維持した。

同時に公表した経済見通しでは2016年と17年の成長率予想が前回3月公表の見通しから下方修正されたほか、FRB当局者の金利見通しではメンバー17人のうち6人が年内の利上げ回数は1回にとどまると予想。前回は1回との予想を示したのは1人だけだった。

イエレンFRB議長はFOMC後の記者会見で「長期的に金利がどこに向かっているのか、われわれにはよく分からない」と述べ、次回7月の会合にも利上げが実施されるのか、より多くの経済指標が発表される9月会合までまで待つのか、手掛かりは示さなかった。

ただ労働市場については「最近の労働市場データが失望を誘う内容となったが、1─2カ月分の指標に過剰反応しないことが重要だ」とし、FRBは労働市場は引き続き力強さを増していくと予想していると指摘。また、英国が欧州連合(EU)を離脱すれば世界的な金融市場に影響が及ぶとし、英国によるEU離脱(ブレグジット)問題が今回のFOMCでの決定に影響を及ぼした要因の1つであったとの認識も示した。

今回のFOMCでの金利据え置きは予想通り。前回唯一反対票を投じたジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁は今回は賛成に回り、全会一致での決定となった。

FOMC声明は「4月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に入手した情報は、労働市場の改善ペースが鈍る一方で(the pase of improvement in the labor market has slowed)、経済活動の拡大は加速しているように見える(growth in economic activity appears to have picked up)ことを示している」と指摘。

ただ「失業率は低下したが、雇用の拡大は弱まった(job gains have diminished)」との認識も示された。

ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオストラテジスト、ブライアン・ジェイコブソン氏は、「利下げせずに最大限のハト派姿勢を示した」と指摘。「カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁も反対票を撤回した。金利軌道の見通しが引き下げられ、大きなハト派シグナルとなった」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

OPECプラス、6月日量41.1万バレル増産で合意

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見...「ペットとの温かい絆」とは言えない事情が
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 4
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 8
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 9
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 10
    「すごく変な臭い」「顔がある」道端で発見した「謎…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中