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焦点:日銀は次回会合で物価の基調点検、足元表現は修正も

2015年03月11日(水)16時19分

 3月11日、日銀は16─17日に開く次回の金融政策決定会合で、原油価格の下落を受けて消費者物価上昇率が鈍化を続ける中、予想物価上昇率など基調的な物価の動向を点検する。写真は、日銀、2013年撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 11日 ロイター] - 日銀は16─17日に開く次回の金融政策決定会合で、原油価格の下落を受けて消費者物価上昇率が鈍化を続ける中、予想物価上昇率など基調的な物価の動向を点検する。

現時点で期待は維持されているとの見方が多く、金融政策は現状維持となる可能性が大きい。輸出や生産などが改善を続ける中で、景気判断は「緩やかな回復基調」との認識をすえ置く見込みだが、足元の物価をめぐる表現について修正の必要性を議論する見通し。

今年1月分の経済指標は、実質輸出が前月比5.3%増、鉱工業生産が同4%増など好調な一方、スーパー売上高が前年比1.7%減など個人消費関連は弱含んでいる。

好調な輸出・生産を踏まえ、現時点で日銀は「緩やかな回復基調を続けている」との2月会合での景気判断をすえ置く可能性が大きい。輸出など個別項目ごとの判断も大きく変えない見通しだ。

一方、物価については、1月消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が前年比プラス0.2%(昨年4月の消費税率引き上げの影響を除くベース)まで伸び率が縮小している。原油安は一服したものの、今後はその影響が電気料金の値下げという形で物価を押し下げることから、日銀内でもコアCPIが近くマイナスに転じる可能性を指摘する声もある。

会合では、こうした足元のコアCPI鈍化が、予想物価上昇率など物価の基調的な動きに影響を与えていないか入念に点検する。

もっとも、本格化している春闘での賃上げに向けた前向きな動きや、各種のアンケート調査などから、現時点で物価上昇期待は維持されているとみており、2015年度後半以降に物価上昇率が再び高まり、同年度を中心とする期間に目標とする2%に達するとのシナリオを維持する見通しだ。

また、1月会合で決めた「貸出増加支援」と「成長基盤強化支援」の2つの貸出支援制度の拡充に関し、信用組合や農協などの系統中央機関を通じて非取引先金融機関が利用できる仕組みの詳細を決める。

*写真を差し替えて再送します。

(竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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