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米FRB、金融安定が政策の主要目標ではない=クオールズ副議長

2019年05月31日(金)03時12分

[30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長(金融規制担当)は30日、金融安定リスクへの対応について、金利ではなくマクロプルーデンス政策が最善策とするFRBが長らく示してきた見解を改めて表明した。

ただ同時に、資産バブルに対応するために利上げを実施する可能性は排除せず、過度に緩和的な金融政策を長過ぎる期間にわたり維持すれば金融の脆弱性につながる恐れがあると警告した。

クオールズ副議長はニューヨーク連銀が主催した会合で、全般的な金融安定に対するリスクは現在高まっていないが、過去最長に近づいている景気拡大局面の中で企業の債務が通常より高い水準に積み上がっていることは、将来的な問題の発生につながる可能性があると指摘。金融システムが阻害されるリスクがそれほど高くない中でも「景気が軟化すれば一部の企業が債務不履行(デフォルト)に陥り、投資の減少、採用減、金融情勢の逼迫化などにつながる可能性がある」と述べた。

その上で「金融の脆弱性がマクロ経済的なリスクに発展する可能性があるとの証拠は示されているものの、金融政策は金融の脆弱性ではなく、失業とインフレの見通しに基づき運営される必要があるとの全般的なコンセンサスが台頭している」と述べた。

また、金融政策を運営するに当たり金融安定を考慮する必要があるとの見解も表明した。

金融政策を通して金融安定を促進しようとした場合、害悪が恩恵を上回る恐れがあるとしながらも、特に金融危機の結果として大きな経済的な損失が出た場合などは「金融の脆弱性に対応するために金融政策を利用した場合、恩恵がコストを上回ることを示す調査結果も出ている」と指摘。「コストと恩恵のトレードオフ関係のほか、金融安定化を理由にした金融政策の調整が時に適切であるかについて、われわれはまだ完全に理解できていない」と述べた。

クオールズ副議長は経済見通しや金融政策などについては直接言及しなかったが、発言内容から、向こう数カ月以内の利下げは支持していない可能性が示唆された。

ロイター
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