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焦点:台湾総統選に出馬表明、鴻海会長の弱点は「中国」か

2019年04月20日(土)10時51分

[台北 18日 ロイター] - 来年の台湾総統選への出馬を表明した鴻海精密工業<2317.TW>の郭台銘会長(68)は、台湾政界に一切しがらみがなく新鮮味がある。しかし鴻海をゼロから世界最大の電子機器受託製造会社に育て上げる過程で培った中国との強い結びつきが、選挙戦で弱点になりそうだ。

富豪の郭氏は米国とのネットワークもあり、トランプ大統領とは親しい。しかし同氏と習近平国家主席をはじめとする中国指導部とのつながりの深さに比べればかすんでしまう。また鴻海は中国国内の工場で、米アップル向けに部品を製造している。

台湾の長栄大学のシェーン・リー氏(政治学)は「郭氏は中国にたくさんの財産を抱えているので、中国側は郭氏のある程度コントロールできる。そのため米政府は郭氏の出馬に神経を尖らさざるを得ないだろう」と述べた。

台湾の多くの一般市民は、中国共産党が「1つの中国」実現のための台湾への武力行使を辞さず、絶えず政治的な工作を続けていることを脅威だと感じている。15日には中国の爆撃機と軍艦が台湾の周囲で演習を行い、台湾が戦闘機を緊急発進させ、緊張が高まった。

一部のアナリストは、台湾の一般的な有権者は中国政府との結びつきを理由に郭氏を敬遠するとみている。有権者は、台湾の独立を掲げる与党・民主進歩党の現職の蔡英文総統か、野党・国民党の候補のいずれかを選択せざるを得ない。

コンサルタント会社クォンタム・インターナショナルのシニアアドバイザー、ジョン・ブレベック氏は郭氏について「台湾で最も有能なビジネスマンの1人だ。問題は中国で多くの事業を展開していることで、有権者は郭氏が何を最も重視するか不安を抱き、この点が郭氏にとって逆風になり得る」と指摘した。

台湾では、代々台湾に住み暮らしてきた人々の子孫である「本省人」と、第二次世界大戦後に中国の共産党政府から逃れて台湾に移り住んだ「外省人」を分ける考えが残っている。郭氏は両親が中国の生まれで、自身は台湾で生まれた。

郭氏は昨年の人民日報のインタビューで、父親が中国の陝西省、母親が広東省の出身であることに言及。1987年に両親の出生地を訪れ、「初めて母国の土を踏んだ」と述べた。また「通りには改革・開放の機運がみられ、非常に感銘を受けた」と中国の政策を称賛した。

郭氏は2014年に北京で習国家主席と面談しており、台湾メディアは郭氏が習首席を偉大な指導者だと評したと報じた。

蔡氏の民主進歩党は既に郭氏は中国との結びつきがアキレス腱だとみている。蔡総統の上席アドバイザーの姚嘉文氏は「郭氏は極めて中国寄りで、富裕層を代表している。市民の支持は得られない」と語り、郭氏は実業家の面が選挙戦で障害になるとの見方を示した。

(Yimou Lee記者)

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