ニュース速報

焦点:カナダも逆イールド、米国より鮮明な景気後退シグナルか

2019年03月30日(土)11時34分

[トロント 28日 ロイター] - 米国債市場で長短金利が逆転して「逆イールド」化し、これがリセッション(景気後退)の前兆かどうか投資家は頭を悩ませている。そこで参考になるのが、中央銀行による国債買い入れによって市場が歪んでいない隣国カナダの債券市場だが、こちらも逆イールドとなっている。

米国債市場では先週、10年物利回りが3カ月物政府短期証券の利回りを下回り、10年強ぶりに逆イールドとなった。

過去50年間の米国のリセッションでは、常にその前に逆イールドが出現していたが、今回は指標性が小さいと一部の市場参加者は主張している。米連邦準備理事会(FRB)による数兆ドル規模の国債買い入れより長期金利が低下し、市場が歪んでいるから、というのがその理由だ。

カナダ市場も先週、逆イールドとなった。経済規模は米国の10分の1程度だが、景気の先行きを予想する上で同国は代替的な指標となるかもしれない。

カナダは州による債券発行が多く、長期国債の発行は米国に比べて少ない。国債市場は中央銀行による直接的な影響が小さい一方、経済は米国と密接に結びついており、米国がマイナス成長に陥っていないのにリセッション入りした前例はほとんどない。

リフィニティブ・アイコンのデータによると、カナダと米国の債券市場は相関が強く、相関度は90%超に達する。米国債市場の歪みが大き過ぎて景気指標としての力を失っているのであれば、この相関は崩れるだろう。

CIBCアセット・マネジメントのグローバル債券担当バイスプレジデント、パトリック・オトゥール氏は「両方が逆イールド化したことは、債券市場が数四半期以内のリセッション入りを予想していることを示す真の警告だ」と指摘。「カナダが発する信号の方が米国より明確だ」と続けた。

カナダは過去50年間で5回リセッションを経験しており、主要輸出品である原油の価格が急落した2015年を除き、常に米国のマイナス成長と歩調を合わせていた。

また、15年のリセッション前には逆イールドが起こらなかったが、世界金融危機前には起こっていた。

現在は、貿易摩擦や過去最高水準の家計債務を背景に、カナダ経済が悪化するとの懸念が広がっている。

カナダの短期金融市場はこれまで、中央銀行の利上げを織り込んでいたが、今月に入って、年末までに75%の確率で利下げがあると予想する水準になった。中銀は2017年7月から合計125ベーシスポイント(bp)の利上げを実施し、現在の政策金利水準は1.75%となっている。

カナダは過去、逆イールド化の後に必ずしもリセッションに陥っていない。ただ、逆イールドになると銀行の貸し出し意欲や、投資家の長期プロジェクトへの投資意欲が衰えるため、金融環境が引き締まるのは事実だ。

フランクリン・ビセット・インベストメント・マネジメントの債券ディレクター、トム・オゴーマン氏は「逆イールドは鼻であしらわれているが、長期化、あるいは深化すれば金融環境の引き締まりが成長を圧迫し、自己実現する可能性はある」と語った。

(Fergal Smith記者)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英企業、向こう1年の賃金上昇予想3.7% 若干緩和

ビジネス

金、今年前半に5000ドル到達も 変動大きい年とH

ワールド

イスラエル軍、ガザのロケット発射地点を攻撃 停戦違

ワールド

軍民両用品目の対日輸出規制強化、民生用途に影響せず
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 8
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 9
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 10
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中