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英EU、離脱巡る妥協案で歩み寄り 直ちに合意に至る公算小さい
[ロンドン/ブリュッセル 21日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱期日が来月末に迫る中、英国とEUが直ちに合意に至る公算は小さいものの、双方はメイ英首相が議会で承認を得られる可能性のある妥協案に向け歩み寄りつつある。
ハモンド英財務相は21日、EU離脱について、EU側と建設的な協議が行われており、早ければ来週にも修正後の離脱協定案が英議会で採決にかけられる可能性があるとの見通しを表明。BBCに対し、来週の動きについて「下院で再び採決を実施する機会があるかもしれない。ただ、今後数日でどの程度進展するかに左右される」と述べた。
同相は、メイ英首相とユンケル欧州委員長の20日の会談について「良好で建設的だった」と発言。会談ではアイルランド国境の安全策(バックストップ)が「一時的な取り決め」にすぎない点を保証することについて協議が行われたと述べた。
同相は「これはこれまで使われたことのない言葉であり、重要だと思える」とし、「双方とも、政治宣言を拡大し、例えば、下院の一部で労働者の権利について表明されている懸念に対処できることを認めている」と述べた。
ただハモンド財務相のこの発言の数時間後、英政府関係筋は数日以内に何らかの合意が得られる可能性を否定。匿名を条件に「来週までに何らかの合意が得られるとは見ていない」と述べた。
メイ首相のEUとの交渉で最大の難関となっているのが、アイルランド国境の安全策(バックストップ)。英議会はメイ首相に対しEUとこれまでに合意した離脱協定案を再交渉することで、このバックストップを修正するよう要請。ただEUは再交渉の余地はないとの姿勢を崩していない。
こうした中、外交筋の話で、英国とEUがアイルランド国境の安全策が一時的なものだと強調する個別文書の作成に向けて動いていることが明らかになった。ただ今月28日より前にメイ首相に確実なことが伝えられることはないとしている。
メイ首相はこれまでに、離脱協定案の修正で合意できなければ、今月27日に議会に再度採決を諮ることを確約。討議の焦点は離脱プロセスの主導権をメイ首相から議会に移すことの是非になるとみられている。
英国とEUは協議を継続しており、この日は英国のバークレー離脱担当相とコックス法務長官がブリュッセルを訪問し、EUのバルニエ首席交渉官と協議を行った。
英離脱省は協議後に発表した声明で、英政府は離脱協定案の再交渉が最も望ましいとの立場は維持しているものの、メイ首相はもはや再交渉は要請していないことを明白に表明。現在はEUとの交渉で、アイルランド国境の安全策が一時的な性質を持つものであることの新たな保証を得ることに主眼を置いていることを明らかにした。
英離脱省によると、バークレー担当相とコックス長官はテクニカルな面で協議を継続する。
ただユンケル欧州委員長は、英国が条件などで合意できないままEUを離脱する可能性は排除できないとし、「あまり楽観視していない」と表明。英国のEU離脱期限は3月29日。EUは3月21─22日にブリュッセルで首脳会議を開く。
*内容を追加しました。