ニュース速報

英EU、離脱巡る妥協案で歩み寄り 直ちに合意に至る公算小さい

2019年02月22日(金)05時26分

[ロンドン/ブリュッセル 21日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱期日が来月末に迫る中、英国とEUが直ちに合意に至る公算は小さいものの、双方はメイ英首相が議会で承認を得られる可能性のある妥協案に向け歩み寄りつつある。

ハモンド英財務相は21日、EU離脱について、EU側と建設的な協議が行われており、早ければ来週にも修正後の離脱協定案が英議会で採決にかけられる可能性があるとの見通しを表明。BBCに対し、来週の動きについて「下院で再び採決を実施する機会があるかもしれない。ただ、今後数日でどの程度進展するかに左右される」と述べた。

同相は、メイ英首相とユンケル欧州委員長の20日の会談について「良好で建設的だった」と発言。会談ではアイルランド国境の安全策(バックストップ)が「一時的な取り決め」にすぎない点を保証することについて協議が行われたと述べた。

同相は「これはこれまで使われたことのない言葉であり、重要だと思える」とし、「双方とも、政治宣言を拡大し、例えば、下院の一部で労働者の権利について表明されている懸念に対処できることを認めている」と述べた。

ただハモンド財務相のこの発言の数時間後、英政府関係筋は数日以内に何らかの合意が得られる可能性を否定。匿名を条件に「来週までに何らかの合意が得られるとは見ていない」と述べた。

メイ首相のEUとの交渉で最大の難関となっているのが、アイルランド国境の安全策(バックストップ)。英議会はメイ首相に対しEUとこれまでに合意した離脱協定案を再交渉することで、このバックストップを修正するよう要請。ただEUは再交渉の余地はないとの姿勢を崩していない。

こうした中、外交筋の話で、英国とEUがアイルランド国境の安全策が一時的なものだと強調する個別文書の作成に向けて動いていることが明らかになった。ただ今月28日より前にメイ首相に確実なことが伝えられることはないとしている。

メイ首相はこれまでに、離脱協定案の修正で合意できなければ、今月27日に議会に再度採決を諮ることを確約。討議の焦点は離脱プロセスの主導権をメイ首相から議会に移すことの是非になるとみられている。

英国とEUは協議を継続しており、この日は英国のバークレー離脱担当相とコックス法務長官がブリュッセルを訪問し、EUのバルニエ首席交渉官と協議を行った。

英離脱省は協議後に発表した声明で、英政府は離脱協定案の再交渉が最も望ましいとの立場は維持しているものの、メイ首相はもはや再交渉は要請していないことを明白に表明。現在はEUとの交渉で、アイルランド国境の安全策が一時的な性質を持つものであることの新たな保証を得ることに主眼を置いていることを明らかにした。

英離脱省によると、バークレー担当相とコックス長官はテクニカルな面で協議を継続する。

ただユンケル欧州委員長は、英国が条件などで合意できないままEUを離脱する可能性は排除できないとし、「あまり楽観視していない」と表明。英国のEU離脱期限は3月29日。EUは3月21─22日にブリュッセルで首脳会議を開く。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、ベネズエラ制裁の選択的解除と石油資産監

ワールド

グリーンランド巡るトランプ氏発言、欧州は真剣に受け

ビジネス

NY外為市場=ドル、ユーロ・スイスフランに対し上昇

ビジネス

FRB追加利下げ限定的、インフレ率は目標上回って推
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中