ニュース速報

自動車大手幹部、米政権に貿易問題解消を要請 不確実性は重しと指摘

2019年01月15日(火)07時15分

[デトロイト 14日 ロイター] - 自動車メーカー大手幹部は14日、政治的不確実性が業界全体に負担としてのしかかっているとし、貿易問題を解消し政府機関一部閉鎖を終わらせるよう、トランプ米政権と議会に要請した。

デトロイトで開催中の北米国際自動車ショーで、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のマンリー最高経営責任者(CEO)は記者団に対し、米国が導入した鉄鋼関税の影響で、2018年の米自動車販売台数に基づく19年のコストが3億─3億5000万ドル拡大するとの見通しを示した。

米国トヨタ自動車販売のカーター上級副社長は、関税に絡むコストを受け、値上げを余儀なくされたことを明らかにした。さらに、関税の影響によって業界全体の販売価格が平均約600ドル上昇したと指摘した。

ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターも、米国が実施した鉄鋼・アルミニウム関税措置によって経済的打撃を被っていることを明らかにした。

GMのロイス社長はロイターに対し、こうした関税の影響は「向かい風」と強調した。

長引く米政府機関の一時閉鎖については、FCAのマンリーCEOが高利益率の大型ピックアップトラックの一部認可手続きが滞るといった影響が出ていることを明らかにした。

フォードのビル・フォード会長は、効率的な事業計画を策定できるよう、トランプ政権が米中貿易摩擦や北米貿易協定など、さまざな通商問題を解消することを望んでいると語った。

「解消されていない多くの懸案が存在する」とし、「われわれれが望んでいるのは確実性だ」と語った

さらに、貿易交渉に当たっているライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が業界の声に耳を傾けていると感じているが、問題解消の時期は不透明との見方を示した。

ハケットCEOもこれに先立ち、北米の新貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」によって誰もが恩恵を受けるとし、議会の承認を待っていると語った。

韓国現代自動車<005380.KS>北米事業のスミス最高執行責任者(COO)は、自動車メーカーは必要に応じサプライチェーンを調整できるようUSMCAを巡り透明性を求めているとし、「時間がかかり過ぎている」と述べた。

また、フォードには電気自動車(EV)および自動運転車といった新技術への投資と世界事業の立て直しが必要としたほか、健全なバランスシート維持と配当を確実にすることが求められているとの考えを示した。

フォルクスワーゲン(VW)はこの日、新型EV生産に向け、米国の工場に8億ドルを投じる計画を発表。ディースCEOは、トランプ政権が新たな関税を導入することを懸念しているとしつつも、新たな投資によって関税を回避できることを望むとし、「投資を拡大するよう米政権に強く促され、それに従う」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の高層複合住宅で大規模火災、13人死亡 逃げ遅

ビジネス

中国万科の社債急落、政府が債務再編検討を指示と報道

ワールド

ウクライナ和平近いとの判断は時期尚早=ロシア大統領

ビジネス

ドル建て業務展開のユーロ圏銀行、バッファー積み増し
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中