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NY市場サマリー(4日)

2019年01月05日(土)07時55分

[4日 ロイター] -

<為替> 朝方発表された堅調な米雇用統計を好感してドルが値上がりしたものの、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言で上値の重い展開となった。

昨年12月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が31万2000人増と10カ月ぶりの大幅な伸びを記録した。時間当たり賃金も前月比0.4%増と、前月の0.2%増から伸びが加速。労働参加率は17年9月以来の水準に上昇した。[nL3N1Z43KT]

こうした中、パウエル議長は討論会でFRBとして忍耐強く臨むとともに、経済の勢いが堅調であっても市場が織り込む下振れリスクに対して敏感であるとの認識を示した。また将来の利上げやバランスシート縮小を巡って柔軟に対応すると明言。世界経済の減速から貿易戦争に至るまであらゆるリスクを考慮しつつ、好調な経済統計との均衡を図る考えを明らかにした。[nL3N1Z43KT]

クレディ・アグリコル(ニューヨーク)のFXストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「迅速かつ柔軟に政策変更を行う用意があるとの発言でリスク選好が広がった。全般的に議長のトーンは慎重でこれがドルに影響した」と述べた。

ドルは対ユーロで0.09%安の1.1401ドル。一時1.1347ドルまで値上がりする場面も見られた。対円では0.7%上昇した。

中国商務省は米中次官級の通商協議を7─8日に北京で行うと発表。ゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表が率いる作業グループが訪中し中国側と「前向きで建設的な協議」を行うと明らかにした。USTR側もホワイトハウス高官や農務、商務、エネルギー、財務各省の次官らが出席すると確認した。これを受け市場心理が上向いたという。[nL3N1Z41BS]

豪ドルは1.6%高。新興市場国通貨は大半が値上がりし、南アランドやトルコリラ がそれぞれ2%強上昇した。カナダドルは3日続伸。

<債券> 米国債利回りが上昇した。2018年12月の雇用統計が予想以上に底堅かったほか、 パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言がハト派的と受け止められ、株式相場が上昇したことが背景だ。

5年債利回りが11ベーシスポイント(bp)上昇して2.48%と、2年債利回りをわずかに下回った。5年債利回りが2年債利回りを最初に下回ったのは18年12月3日で、両者の利回り格差はその後ゼロ付近で推移してきた

2年債利回りが10年債利回りを上回れば、景気後退の強い兆候とみられている。ただ、2年債利回りは10年債利回りを上回る前に、5年債利回りを上回る傾向があるとされる。

10年債利回りは直近で2.65%と、前日引けの水準を10bp上回った。

労働省が発表した12月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が31万2000人増加し、2月以来10カ月ぶりの大幅増となった。市場予想の17万7000人増も大きく上回った。時間当たり賃金は前月比0.4%増と、前月の0.2%増から伸びが加速した[nL3N1Z43KT]。これを受け、米国債利回りは上昇した。

その後パウエル氏はイエレン、バーナンキ両元議長との討論会で、必要に応じて「常に政策スタンスを大幅に変更する用意がある」と述べ、2016年当時と同様、金融引き締めの停止もあり得るとの考えを示唆するなどした[nL3N1Z43Y9]。発言を受け、よりリスクが高いとされる資産が買われ、株式相場の追い風となる一方で国債価格は低下した。

パウエル氏が、中銀の政治的独立性に関する責任について触れたことも、市場の追い風となった。

<株式> 急反発。上げ幅は2週間ぶりの大きさとなった。良好な米雇用統計やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言が寄与した。

主要3株価指数は3%を超す上昇。アップルの売上高見通しの下方修正を背景に7年超ぶりの大幅な下げとなった前日の下落分を取り戻した。

米労働省が発表した2018年12月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が31万2000人増加し、2月以来10カ月ぶりの大幅増となった。市場予想の17万7000人増も大きく上回った。[nL3N1Z43KT]

またパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日、FRBは忍耐強く臨むとともに、経済の勢いが堅調であっても市場が織り込む下振れリスクに対して敏感であるとの認識を示した。また将来の利上げやバランスシート縮小を巡って柔軟に対応すると明言。世界経済の減速から貿易戦争に至るまであらゆるリスクを考慮しつつ、好調な経済統計との均衡を図る考えを明らかにした。[nL3N1Z43Y9]

アバディーン・スタンダード・インベストメンツ(ロンドン)のシニア投資マネジャー、ジェームズ・アセイ氏は、FRBに政策変更の準備が出来ていること、注意深く耳を傾けていること、市場のメッセージに対し敏感であることを示したパウエル氏の発言について「正しい」との認識を示した上で、「恐怖心に囚われている市場にとって良いメッセージだった」と述べた。

一方、USバンク・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、エリック・フリードマン氏は「今後も経済的な弱さが強まると想定しており、荒い値動きが続くだろう」との慎重な見方を示した。

米中次官級の通商協議が来週7─8日に北京で行われることを受け、関税の影響を受け易い銘柄がダウの上昇をけん引。キャタピラーやユナイテッド・テクノロジーズ、3M、ボーイングなどが買われた。

セクター別では11業種全てが上昇。ハイテク株や通信サービス<.SPLRCL>、素材<.SPLRCM>、工業<.SPLRCI>の上昇が目立った。

米ハイテク大手5社「FAANG」株も上昇。アップルが前日の大幅安から切り返し4.3%高となったほか、ゴールドマン・サックスが「コンビクションリスト」に追加したネットフリックスは9.7%高となった。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を7.64対1の比率で上回った。ナスダックでも6.22対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は86億8000万株。直近20営業日の平均は91億4000万株。

<金先物> 上昇。6カ月半ぶりの高値を付け、重要な節目となる1300ドルに近づいた。世界各国の市場で景気減速をめぐる懸念が台頭し、安全資産としての金需要が高まった。

金現物は米東部時間午後2時17分(1917GMT)時点で、0.6%高の1オンス=1291.76ドル。一時は1292.90ドルと、昨年6月15日以来の高値を付けた。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月きりの清算値は、0.8%高の1294.80ドル。

サクソバンクのアナリスト、オーレ・ハンセン氏は「金は大半の評価基準において買われ過ぎで、値固めに入る必要があるが、投機的なロングポジションが依然として積み上がっており、予想よりも早く1300ドルを目指すだろう」と分析した。世界的な経済の減速や、企業の成長に対する懸念が広がる中、米アップルが公表した売上高見通しの下方修正がこの日の金融市場を動揺させた。

ジュリアス・ベアのアナリスト、カーステン・メンケ氏は「市場の地合いが落ち着き、ドル安に加えて、投資需要が戻ったことで、金相場は長期的な回復基調にあるとみている」と指摘した。

米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した2018年12月の全米雇用報告で、非農業部門の民間就業者数(季節調整済み)が約2年ぶりの大きな伸びを示したことを受けて、金は序盤に上げ幅を一部削った。ただ、米サプライ管理協会(ISM)が発表した12月の米製造業景況指数が16年11月以来の低水準に落ち込んだことを受けて、ドルが下落し、金相場は回復した。

<米原油先物> 上伸。荒い値動きの末、1%超上昇した。サウジアラビアの減産の兆しが支援材料。ただ、世界経済の成長鈍化で需要が減退するとの懸念が上値を抑えた。

英国産標準油種北海ブレントの清算値は、1.04ドル(1.89%)高の1バレル=55.95ドル。米国産標準油種WTIは0.55ドル(1.18%)高の47.09ドル。

この日の取引は荒い展開となり、北海ブレントの高値は56.30ドル、安値は53.93ドル。WTIの高値は47.49ドル、安値は45.35ドルだった。石油輸出国機構(OPEC)加盟国の減産の兆候は先物相場を支援した。ロイター通信の調査によると、最大輸出国のサウジが協調減産合意の履行に早めに着手し、イランとリビアの産油量が予期せぬ減少となったことが要因で、12月のOPECの減産規模は約2年ぶりの大きさになった。

リッターブッシュ・アンド・アソシエーツのジム・リッターブッシュ社長はリポートで「今週正式に始まった大幅減産で、サウジはやはり先陣を切っている。これまでのところ、調整された(減産)枠がしっかり順守される確率は高い」と分析した。ただ世界経済の減速をめぐる不安で、上値は抑えられた。米アップルが中国での販売不振を理由に売上高見通しを下方修正したことが要因でこの日の米株式相場は大幅下落し、原油価格の重しになった。米製造業景況指数が市場予想を下回ったことも、景気の先行きに対する警戒感を招いた。

始値 107.98

高値 108.58

安値 107.97

ユーロ/ドル NY終値 1.1393/1.1397

始値 1.1411

高値 1.1418

安値 1.1347

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 107*24.00 2.9810%

前営業日終値 109*14.50 2.9000%

10年債(指標銘柄) 17時05分 103*30.00 2.6677%

前営業日終値 104*30.50 2.5530%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*18.50 2.5008%

前営業日終値 101*06.50 2.3680%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*00.13 2.4978%

前営業日終値 100*06.88 2.3890%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 23433.16 +746.94 +3.29 <.DJI>

前営業日終値 22686.22

ナスダック総合 6738.86 +275.35 +4.26 <.IXIC>

前営業日終値 6463.50

S&P総合500種 2531.94 +84.05 +3.43 <.SPX>

前営業日終値 2447.89

COMEX金 2月限 1285.8 ‐9.0 <0#GC:>

前営業日終値 1294.8

COMEX銀 3月限 1578.6 ‐1.1 <0#SI:>

前営業日終値 1579.7

北海ブレント 3月限 57.06 +1.11 <0#LCO:>

前営業日終値 55.95

米WTI先物 2月限 47.96 +0.87 <0#CL:>

前営業日終値 47.09

CRB商品指数 173.3547 +1.8026 <.TRCCRB>

前営業日終値 171.5521

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