ニュース速報

華為・ZTE製機器の利用禁止、米大統領が命令検討=関係筋

2018年12月28日(金)12時04分

[ワシントン 27日 ロイター] - 複数の関係筋によると、トランプ米大統領は国内企業に対し、中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL] と中興通訊(ZTE)<0763.HK><000063.SZ>が製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を来年に発令することを検討している。

大統領令は、米国企業が国家安全保障上、重大な脅威となり得る海外通信機器市場から機器を購入することを阻止するよう商務省に指示する内容。通信業界と政権の関係者が明らかにした。

華為技術と中興通訊が名指しされる公算は小さいが、関係筋の1人によると、商務省は両社製通信機器の利用拡大を制限する権限を得たと解釈する見通し。

文面は最終決定していないという。国際緊急経済権限法を発動するもので、大統領が非常事態を宣言し、商取引を規制する。

米国は、両社が中国政府の指示を受けているとみており、米国人に対する諜報(ちょうほう)活動に両社の製品が利用される可能性があると主張している。

ホワイトハウス当局者は、米国が「第5世代移動通信システム(5G)など通信インフラ整備時のリスク軽減に向け、同盟国や同様の考えを持つ連携国とともに政府内で横断的に取り組んでいる」としたが、これ以上公表できる材料はないとした。

大統領令は8カ月以上前から検討されており、早ければ来年1月にも発令される可能性がある。大統領令については、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が今年5月に初めて報じたが、現時点では発令されていない。

米国では今年8月に、両社と米政府の取引制限を盛り込んだ国防権限法が成立している。

両社のコメントは取れていない。両社は自社製品が諜報活動に利用されているのではないかとの疑惑を過去に否定している。

中国外務省の華春瑩報道官は27日、公式に確認されていないとして大統領令に関するコメントを控えると述べた。

報道官は、安全保障問題に関しては、事実によって説明されるべきだと指摘。「一部の国は何の根拠もなく、安全保障を理由に、通常の技術交流活動を政治的に利用、妨害・制限するため、犯罪行為があったと想定している」と述べた。

「これが実際には、開放、進展、公正への扉というよりも、自身を閉ざす行為であることは明白だ」と述べた。

<地方の通信会社に打撃>

米国では、地方の通信会社が両社の最大の顧客となっている。

モンタナ州の通信企業は2010年、自社ネットワークの入札に絡み、スウェーデン通信機器大手エリクソンの機器価格が華為技術製品の4倍近くだったと明かす。

大手携帯電話会社は、特に華為技術との関係解消に動いているが、地方の中小通信会社は相対的に価格の安い両社の通信機器を利用している。

加入者10万人未満の通信会社が加盟する米国の地方無線協会(RWA)が今月、連邦通信委員会(FCC)に提出した文書によると、同協会の会員企業の推定25%が華為技術か中興通訊の製品を利用している。

RWAの法律顧問によると、同協会は大統領令が発令されれば、会員企業が両社製品の交換を強制されるのではないかと懸念している。両社製品の交換には会員全体で8億─10億ドルの費用がかかる見通しだ。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:自動車業界がレアアース確保に躍起、中国の

ワールド

アングル:特産品は高麗人参、米中貿易戦争がウィスコ

ワールド

トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と「ディ

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 2
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中