コラム

CIAが制作した「中国人スパイ勧誘動画」に効果はあるか?

2025年05月17日(土)20時05分
CIA

CIAが先頃ソーシャルメディアに投稿した中国人スパイ勧誘動画の一場面 CIA/YOUTUBE

<CIAが今月、ある動画を制作したことがニュースになった。中国政府の職員をアメリカのスパイとして勧誘する内容だ。その出来栄えを元CIA工作員が分析すると......>

最近は、短編映画作りもCIAの業務の一部になったようだ。CIAは5月1日、2本の動画をソーシャルメディアに投稿した。狙いは、中国の政府職員をアメリカのスパイとして勧誘すること。1つの動画には、「なぜ私はCIAに接触したのか──自分の人生を自分でコントロールするために」というタイトルが付いている。

※「なぜ私はCIAに接触したのか──自分の人生を自分でコントロールするために」を動画で見る

動画は、中国の下級・中級官僚の視点で描かれる。「党内で昇進する過程で、自分より地位が高い人間が履き古しの靴のように切り捨てられるのを目の当たりにしてきた。そして気が付くと、自分の運命も同じくらい危うくなっている」と、ある官僚の思いをナレーションが語る。別の官僚の思いもナレーションで語られる。「これからは自分の夢のために行動すべきだ」


そのための方法は字幕で示される。「経済・財政・通商政策について情報を持っていませんか」。それに続き、CIAと連絡を取る方法が説明される。当然、中国政府は激しく反発。CIAの動画は「挑発以外の何物でもない」と批判している。

トランプ米政権は、中国に対する諜報活動に重きを置く姿勢を打ち出してきた。ラトクリフCIA長官は就任して程なく、中国は「(政権の)短期的な優先課題のリスト」の「トップ」に位置していると語っている。アメリカの共和党、とりわけトランプ大統領は長らく、民主党が中国に対して「甘い」と非難し続けてきた。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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