中国とヨーロッパがEVシフトを加速するなかで、日本の自動車メーカーの対応は後手に回っているように見える。自動車アナリストの中西孝樹氏のように、日本メーカーはEV化を遅らせよと主張する人もいる(「欧中主導のEVシフトに"抵抗"必要」SankeiBiz、2017年10月20日)が、大局を見誤ったこうしたタクティクスは日本メーカーの競争力を弱めるばかりであろう。もし日本メーカーが中国市場や欧州市場なんてどうでもいい、日本に引きこもるのだ、というのであれば、EVに取り組まないという選択肢もあろうが、中国・欧州を攻めるつもりがあるのならEVをやるしかない。日系メーカーにとって問題はおそらくEVを作ることよりも、どうやって販路を見つけるかである。この点は中国メーカーのひそみに倣い、まずは地元のタクシーやカーシェアなどのサービスとタイアップして地域でのプレゼンスを高めることから始めるのが現実的である。
では日本国内ではどのようなエコカー政策をとるべきだろうか。日本政府はこれまでエコカー(EV、PHEV、FCV)を購入するユーザーに対して補助金を出したり、充電ステーションや水素ステーションの設置に対する補助金を出してきたが、2015年末時点でのエコカー保有台数はEVが8万台、PHEVが5万7000台、FCVが630台で、全自動車保有台数に占める割合はわずか0.18%にすぎない。日本政府は2015年のパリ協定で、2030年までに温室効果ガスの排出を2013年に比べて26%削減すると約束した以上、エコカーの普及をもっと加速させる必要がある。
盛り上がらないエコカー政策
ただ、エコカーの効果を考えるうえで大事なことは、車単独でとらえるのではなく、交通システム全体のなかでの二酸化炭素排出をどう削減するかである。早い話、自家用乗用車の保有を禁止し、自動車はトラックとバスとタクシーだけにすれば、運輸部門から排出される二酸化炭素は半分になり、日本全体として二酸化炭素排出が8%減ることになる。もちろんそんな極端な政策はまったく現実的ではないが、交通の利便性を犠牲にすることなく、二酸化炭素排出を削減するアイディアをいろいろ出していくことが大事だ。今回と次回のコラムの二回に分けてこの問題を論じていきたい。
日本政府がエコカー普及策をやってはいるものの、いま一つ盛り上がりに欠ける理由、それは東日本大震災後の日本では、EVがハイブリッド自動車に比べて二酸化炭素排出削減に実はたいして役立たないという問題がある。なぜなら、電源構成のなかで二酸化炭素排出の少ない原発が稼働を停止し、火力発電の割合が高まったため、EVを普及させる意味が半減してしまったからである。