<中国はガソリン車の購入規制でEV普及を進めるが、車離れが進む日本にそれはできない。交通の利便性を犠牲にすることなく二酸化炭素排出を削減するにはどうしたらいいのか。今回から2回に分けて検証する>

いま世界ではガソリンや軽油を使う自動車から電気自動車(EV)へのシフトを加速させる動きが活発になっている。ノルウェーとオランダは2025年からガソリン・軽油車の販売を禁止すると決めた。フランスとイギリスも2040年までにガソリン・軽油車の販売を停止するとしているし、インドや米カリフォルニア州でもそうした目標を作ろうという動きがある。

そうしたなか、世界最大の自動車市場である中国が、今年9月末にEVシフトを大きく加速させるための政策を発表した。この政策は二つの柱からなっている。一つは各メーカーが生産する乗用車の平均燃費を、2020年までに1リットル20㎞ぐらいまで改善していくことを促す政策。もう一つは、各乗用車メーカーに2019年には「新エネルギー車ポイント」を10%、2020年には12%とすることを義務づける政策である。

ポイント制をインセンティブに

この「新エネルギー車ポイント」とは、電気自動車(EV)、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHEV)、燃料電池車(FCV)に対して与えられるものであり、EVであれば、航続距離によって異なるが1台作ればおおむね4~5ポイント、PHEVなら1台作れば2ポイントが与えられる。

例えば、年産100万台のメーカーであれば、2019年に「新エネルギー車ポイント」を10%にするために10万ポイントを獲得しなければならない。そのためにはPHEVを5万台作って10万ポイント獲得するか、またはEVを2万~2万5000台作って10万ポイント獲得しなくてはならない、ということだ。

これはなかなか高いハードルである。中国では2016年に生産された乗用車のうちEVが26万台、PHEVが8万台だったが、これは乗用車の生産台数2442万台の1.4%で、私の試算では120万ぐらいの新エネルギー車ポイントに相当する。つまり、2016年の業界全体の新エネルギー車ポイントは生産台数の5%だった。2019年の目標は10%だから、EVとPHEVの生産台数を2倍ぐらいに増やさなければならない。

この「新エネルギー車ポイント」制度は中国の自動車メーカーを大きく後押しすることになる。なぜならいくつかの中国系メーカーが2016年時点ですでに10%の目標をクリアしているからである。

2016年には、中国におけるEV、PHEVの生産台数の9割を中国ブランドのメーカーが占めた。なかでも比亜迪(BYD)は2016年に9万6000台のEVとPHEVを生産し、世界のトップだった。BYDの自動車生産台数は全部で42万台ほどだったので、BYDは2016年の時点ですでに新エネルギー車ポイントが50%を超えていたとみられる。

大胆かつ巧みな中国の産業政策