CNNは「ロシアによる2022年2月のウクライナへの侵攻後、数時間で破壊された」と振り返る。世界で最も重量のある航空機であり、現役で使用されている輸送機としては最長となる翼幅88メートル超を誇っていた。侵攻後すぐにロシア軍が、キーウの北西に位置するアントノフ空港へ攻め込み、ムリーヤはこの混乱に巻き込まれた。

ウクライナ防衛企業のウクロボロンプロム社は昨年2月27日、「侵攻当時、An-225ムリーヤはホストーメリ空港(アントノフ国際空港)で整備中であったため、ウクライナを離れる時間的猶予がなかった」と発表している。

その後ムリーヤは損傷後長らく、キーウ郊外の空港で無残な姿をさらしていた。機首は焼け落ち、前方からは内部の空洞が顔を覗かせている状態だ。左翼は辛うじて維持されているが、右翼は重量に耐えきれず機体から離脱し、3発のエンジンが直に床面に接している状態であった。

ウクライナ国民に伝える、見捨てられていないというメッセージ

ムリーヤはウクライナ語で「夢」を意味する。ロシアの攻撃により大破した機体が復活へ動くことで、ウクライナの国民の気力をつなぐ象徴となると期待されている。

国営アントノフ社の副社長兼チーフエンジニアであるウラジスラフ・ブラシク氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「人々は希望を持つべきです」とムリーヤ復元の意義を語る。「この飛行機は見捨てられてなどいないのだと、皆に知ってもらう必要があるのです。やることはたくさんありますが、私たちは取り組みを始めています」

復元へ動き出したムリーヤだが、道は平坦ではない。ロシアからの戦禍が渦巻くいま、軍事的リソースの確保に重点を置くべきだとの声がウクライナ国内からも聞こえる。航空アナリストのベレリー・ロマネンコ氏は、ウクライナのメディアに対し、「言葉も出ません」と私見を語った。「軍隊のために緊急に必要とされていることの実施」に集中すべきだと彼女は言う。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、復元プロジェクトには5億円ドル(約660億円)の費用が見込まれているが、調達手段は未定だという。損傷機をもとにした復元機について、耐空性能を欧米の当局に証明することは難しいとの指摘もあるようだ。

ウクライナの「夢」の復元は実現するのか、計画の行く末が注目される。

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