アンソロピックが米軍に対し、自社のAI「クロード」について完全自律型兵器など人命に直接関わる軍事利用を認めなかったことは、差し迫った問いを突き付けている──AIシステムは戦争をどこまで変えるのか、人間はそれをどう統制するのか、そもそも統制できるのか。
その答えはかなり見えてきている。戦争遂行の意思決定プロセスにおいて、人間は既に、観察(Observe)、状況判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)のサイクルを繰り返す「OODAループ」の大半を統制できなくなりつつある。近い将来、指導者は目標を定めた後は、AIでOODAループを数週間から数分間に短縮するシステムに依存せざるを得ない。
軍が生き残るには、この現実を受け入れるしかない。しかし、AIが主導する意思決定プロセスの台頭は、人間が戦争遂行の大部分についてリアルタイムの統制を大幅に、時には決定的に失うことを意味する。
アンソロピックをめぐる最近の議論とは別に、AIを戦争にどう組み込むかという問いの答えは、米海兵隊の教本「リーディング・マリーンズ」に示されている。この教本によると、軍事的な成功の鍵は「適応力」「革新」「分権化」にある。これは古代ローマ軍団の時代以来、上官の指示を待たずに下級士官に独自の判断を委ねることを意味してきた。
AIシステムは既に、脅威の評価と対応策の提示に要する時間を、従来の指揮系統では数日かかっていたところを数分に短縮している。つまり米国防総省は、自律的な殺傷判断に関するクロードの制限を受け入れなかったというより、制限を回避しただけだ。実際、アンソロピックが拒否した用途を、複数他社との契約を通じて実現しようとしている。