人間の統制が及ばないリアルタイムの連鎖の世界へ
この60年間、超大国は「相互確証破壊(MAD)」という暗黙の抑止論で互いを抑制してきた。核保有国が核戦争に踏み切らなかったのは、文明を破壊するような報復に発展することを誰にも止められないと分かっていたからだ。
また、この30年近くの間、大国は大規模なサイバー戦争もおおむね自制してきた。国家の重要インフラに大きな打撃を与えるサイバー攻撃を防ぐ有効な手段が存在しないことを、各国政府が理解しているからだ。
そして今、クロードのようなAIが軍の指揮・作戦システムに組み込まれ、戦争そのものの性質が変わりつつある。戦争は、人間が統制できる一連の意思決定と行動から、人間の統制が及ばないリアルタイムの相互作用と創発的な意思決定の連鎖へと変貌しているのだ。
人間が戦争を統制できるのは、最初に目標を設定するところまでだ。その後は、自ら掲げた目標と幻想がどのような結末を迎えるのかを見守るしかない。
2026年7月21日号(7月14日発売)は「最強AIを生んだ アンソロピックの衝撃」特集。
ペンタゴンが狙う世界最強AIクロード・ミュトス。「生みの親」アンソロピックは人類の守護者か、破壊者か
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます