実際に石油需要がもうすぐピークを打つかどうかは、誰にも分からない。少なくとも短期的には、人々が感染リスクを避けてマイカーに乗るため、石油の消費はむしろ増えるかもしれない。市場調査会社Ipsosが中国で行った調査によると、バスや地下鉄の利用率は57%減ったが、自家用車は2倍に増えた。

原油価格は逆U字型に?

それでも石油生産者はピークオイルの可能性を真剣に考えている。国際エネルギー機関(IEA)によると、見通しの不確実性と景気の急激な悪化が相まって、今年のエネルギー関連投資は世界で30%縮小する。

需要が急減すれば、石油価格は低下する可能性が高い。供給を制約する地政学的緊張が生じなければ、今後5年間の原油価格は逆U字型で推移する可能性がある。いったん1バレル= 60 ドルまで上昇した後、40ドルまで下がるというシナリオだ。

言うまでもなく、エネルギーをめぐる経済環境の激変は一夜にして起こるものではない。だが、新型コロナはそのプロセスを加速させる可能性がある。原油先物価格がマイナスになった3月のように、生産者は自社の最大の資産が実は負債だったことに気付くかもしれない。

From Foreign Policy Magazine

<2020年9月1日号「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集より>

【関連記事】
コロナでグローバル化は衰退しないが、より困難な時代に突入する(細谷雄一)
サウジ石油施設攻撃などの地政学的リスクは株価にどう影響するか

20200901issue_cover150.jpg
2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます
20200908issue_cover150.jpg
2020年9月8日号(9月1日発売)は「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」特集。主導国なき「Gゼロ」の世界を予見した国際政治学者が読み解く、米中・経済・テクノロジー・日本の行方。PLUS 安倍晋三の遺産――世界は長期政権をこう評価する。
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます
石油業界は史上まれにみる激動期を経験した後、徐々に回復しつつある。今年3~4月には、需要の落ち込みと供給過剰、貯蔵能力の限界に強烈な投機的売買が重なり、一部の原油先物価格はマイナスに転落した。だが現在、需要は回復に転じ、供給は抑制されている。

【関連記事】新自由主義が蝕んだ「社会」の蘇らせ方