とはいえ、技術の目覚ましい発展は、同時に革新的な機械翻訳を生みつつある。そのため、中長期的にはむしろ個人の英語習得が(少なくとも単純事務作業レベルでは)あまり意味のないものになる可能性すらあり、今後の動向は未知数である。

グローバル化時代に英語は不可欠だという掛け声のもと英語教育が推進されているが、実は英語の必要性と英語教育は完全には連動していない。00年代終盤、英語使用ニーズは世界的に大きく落ち込んだはずだが、英語教育にブレーキを踏む国は現れなかった。また、早期英語教育を始めるだけでは英語力が向上しないことは研究者の間では定説化しているが、そうした知見に耳を貸した国はほぼ皆無だ。日本も今年4月から、小学校で教科の英語が始まっている。

日本を含む多くの国が、英語使用ニーズや研究知見に基づき早期英語教育を推進しているのではなく、むしろ「わが国も遅れまい」とばかりに、他国をまねているだけの面が強い。ある国の政策が国境を越えて伝播するという意味で、これも教育のグローバル化の一種である。

実際のニーズがどうであれ、官民共に英語熱が冷めることは当分の間ないだろう。とはいえ、「隣の芝は青い」とばかりに英語熱が世界中に広がるのは、いかにも皮肉な「グローバル化」であるが。

<2020年9月1日号「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集より>

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英語使用・英語教育の観点から、グローバル化の行方を考えたい。英語使用ニーズを研究してきた筆者からすると、コロナ禍は英語関連業界への逆風となるだろう(英語嫌いの人には福音かもしれないが)。ニーズが減るのはほぼ確実だからだ。

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