暗い宇宙空間に浮かぶ、巨大な猫のような影。その顔には、赤く光る片目のようなものまで見える。

SF映画の一場面のようだが、これは実際に宇宙望遠鏡が捉えた光景だ。

米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測したのは、「猫の頭星雲(Cat's Head Nebula)」と呼ばれる領域。地球から約7500光年離れた、りゅうこつ座星雲の一部に位置している。

10月29日、宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)は、2つの望遠鏡による観測画像を比較した映像「Multiwavelength Flight into the Cat's Head Nebula」をYouTubeで公開した。

映像では、同じ星雲を可視光線、近赤外線、中間赤外線という3種類の光で捉えた画像が並べられている。

ハッブル宇宙望遠鏡が可視光線で撮影した画像では、暗褐色の巨大な塵の柱が猫のような輪郭を形づくっている。ひときわ目を引くのは、顔の部分にある赤い光だ。

この「目」の正体は、塵の内部に埋もれた若い星である可能性が高いという。

一方、ウェッブ宇宙望遠鏡が近赤外線で観測すると、可視光線では見えにくかった塵の構造が浮かび上がる。周囲には数多くの星が現れ、さらに遠方にある銀河まで確認できる。

中間赤外線では、温かい宇宙塵や、星の光によって励起された炭素を含む分子が放つ光が捉えられている。

興味深いのは、観測する光の種類によって見える細部が大きく変わる一方、猫のように見える塵の柱の形は、おおむね共通していることだ。

宇宙に浮かぶ不思議な「猫」の姿は、単なる偶然の造形というだけではない。異なる波長の光を使うことで、星が生まれる領域の内部構造を詳しく調べられることを示している。

宇宙望遠鏡科学研究所が公開した映像では、3種類の画像を同時に比較しながら、星雲の内部へ近づいていくような視点で、その違いを確かめることができる。

同じ場所を撮影しているにもかかわらず、光の種類を変えるだけで、まるで別の宇宙空間のように見える。その不思議な光景が映し出されている。

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