※近年、激動の国際情勢を表現する語彙は、かつてないスピードで更新され続けています。Tech RightからCognitive Warfare、活人感、AI Slopまで――。ウェブ特集「いくつ知ってる? 世界を読み解くキーワード」では、その背景にある文脈とともに解説します。
Manosphere(マノスフィア)
ジェンダー平等が男性の権利を犠牲にして実現されてきたと主張するオンラインコミュニティーの総称。富を築くことや女性を支配することを「男らしさ」の象徴とする。
SNSやポッドキャスト、ゲーマーのコミュニティーなどほぼ全てのデジタル空間にマノスフィアは広がっているとされる。英語圏のメディアが社会現象として取り上げて一般に広めた。
孤立感や恋愛をめぐる不満、経済的不安などを抱える青年が、フィットネスや金銭アドバイスなど「自己改善」をうたうコンテンツに釣られて足を踏み入れるケースも多い。
言説の一部は女性に対する嫌悪や敵意へと過激化しており、暴力を助長するコンテンツの拡散は、教育現場や各国政府でも問題視されている。
Red Pill / Black Pill(レッドピル/ブラックピル)
映画『マトリックス』に登場する「真実を知るための赤い薬」に由来する言葉。「レッドピル」は、社会が男性よりも女性を優遇しており、男性は不当に不利な立場に置かれているという「真実」に目覚めることを指す。
さらに、恋愛や社会的成功は生まれ持った容姿や遺伝的な資質によってほぼ決まっており、本人の努力では覆せないとする、より悲観的で絶望的な世界観に陥った状態が「ブラックピル」と呼ばれる。
マノスフィア内のフォーラムで生まれ、ネットスラングとして一般にも波及した。思想に影響された一部の若者が、女性に敵意を向けてオンラインで嫌がらせをしたり、暴力事件につながったりしていることから、過激化への警戒が高まっている。