韓国・ソウルに住むキム・ミンソンさん(48)は今年7月、中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)のEVを購入した。

周りからは質問攻めにあった。

「みんな、なぜ中国車を買ったのか、死にたいのか、という反応だった」とキムさんは話す。中国車が長年、粗悪品と見なされてきた韓国では、ほんの数年前なら考えられない買い物だった。

購入した小型車「ドルフィン」 は約1万8500ドル(約290万円)と安く、装備も充実し、そして何より、すぐに納車された。キムさんは当初、現代自動車の「キャスパーEV」が欲しかったが、納車までに2年超待ちと言われた。

欧州などで急速に事業を拡大したBYDなど中国の自動車メーカーは今、強力な自動車産業を抱え、懐疑的な消費者も少なくない韓国と日本市場に照準を合わせている。韓国では浸透しつつある一方で、日本での販売は低調だ。

EV普及度の違いもこの差の一因となっている。業界データによると、2026年に韓国で販売された新車のおよそ4分の1がEVだったのに対し、日本では3パーセント(%)にとどまった。

業界幹部やアナリストによると、中国の自動車メーカーは何年もかけて販売店網を築き、現地の嗜好に合わせて車を改良する対応力を実証してきた。

これは自信と必要性の両方から生まれた戦略だ。中国は、競合他社が対抗しにくい価格で、世界でも最も技術的に進んだ車を生産している。だが、国内市場はブランドが乱立して飽和状態にあるため、メーカーは成長と利益を海外に求める必要がある。

「(中国自動車メーカーは)まず参入し、何が起きるかを見極め、徐々に戦略を調整していく」と、東京を拠点とするコンサルティング会社モビーインフォの創業者、廖静南氏は話す。

ロイターはこの記事のために、韓国と日本の両国で、企業幹部や販売店、EV購入者を含む10人以上に取材した。

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