連載「On Japan “日本通”時事コラム」では、在日外国人をはじめ、世界各地にルーツを持つ「日本通」たちが、政治、社会、文化などを独自の視点から読み解きます。

<フランス各地で発生した大規模な暴動。日本では移民受け入れの危険性を指摘する声も上がっている。しかし、暴徒の多くはフランス社会で育った人々だ。問題の本質はどこにあるのか。フランス人ジャーナリストが、日本も目を背けてはならない現実を指摘する>

私のようなフランス人が日本に社会のあるべき姿を教えられると少しでも思っていたとしたら、そうした思い上がりは10月17〜18日に打ち砕かれた。フランス各地で都市が歯止めの利かない暴力の渦にのみ込まれ、その映像が世界を駆け巡ったのだ。

商店は破壊・略奪され、重装備の警察官とデモ参加者が殴り合い、群衆が警察車両を襲い、市庁舎が燃えた。ある男は暴徒を追い払おうと、バルコニーから熱湯をまいた。『アメリ』のパリは戦争映画の舞台と化した。

フランスの町が暴徒に破壊されるのはこれが初めてではなく、また最後でもないだろう。いったん暴動は収まったものの、すぐに新たにデモを呼びかける声が上がり、さらなる衝突が懸念される。

マクロン仏大統領の任期が残り半年余りとなるなか、仏フィガロ紙は政権の終わりを一面で「断末魔」と評した。

発端は教育環境の改善を求める高校生のデモだったが、暴動が始まると学生デモは一瞬で忘れられた。ニュース映像から判断する限り、暴徒の多くが外国にルーツを持つように見えることは否定できない。当然ながら暴動は、無秩序な移民受け入れの危険を訴える人々にとって格好の証拠となった。トランプ米大統領は「初めてマクロンに会ったときに、国境を閉鎖しろと言った。国が破滅するぞ、と。結局フランス人は国を破滅させた」と批判した。

ネットの投稿を見ると、多くの日本人が暴動の原因は移民にあると考え、日本も近い将来フランスの二の舞いになると恐れている。だが暴徒はフランス人だ。ほぼ全員がフランスで生まれたか、親がフランスで生まれたか何十年も前に移り住んだ人たちだ。彼らはフランス語を話し、学校で「生粋」のフランス人と机を並べた。

暴れているのは誰か?
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