※ニュースの裏側で、経済はどう動いているのか。連載「加谷珪一 経済ニュース超解説」では、経済評論家の加谷珪一氏が、国内外の経済ニュースを手がかりに、その背景にある構造や本質を読み解きます。
このところ情報システムの不正アクセスによって、個人情報が大量流出する事案が相次いでいる。コンビニ大手のローソンやカラオケを展開する第一興商、損保ジャパンや大和証券といった金融機関、カーシェアリングのタイムズカーなど業種も多岐にわたる。7月以降だけでも、既に累積で1億6000万人分を超える件数が漏れているとの試算もあり、事実上、全国民の個人情報が丸裸になってしまった状態と考えざるを得ない。
ひとくちに情報漏洩と言っても複数の段階があり、メールアドレスが流出している程度であれば、迷惑メールを受信するくらいの被害で済む。だが住所・氏名・電話番号など、より重要な個人情報の流出を伴っていたり、免許証の情報やクレジットカード情報など、極めて重要な個人情報が漏れるということになると話は変わってくる。
今回の情報漏洩は規模が大きく、100万件、1000万件単位の流出が目立つ。ここまで規模が大きくなると、国民のほぼ全員が何らかの形で情報漏洩の被害を受けていると考えるのが妥当だろう。
ちなみにこうした事案が発生すると、企業は決まって「現時点で情報を悪用された事実は確認されていない」などと述べるが、この説明は全く無意味である。漏洩したデータは犯罪集団が整理・統合した上で転売され、しばらく時間がたってから広範囲に不正利用されるので、漏洩した情報がどう悪用されているのか企業側が確認すること自体、そもそも困難である。つまり流出があった時点で被害を受ける蓋然性が高くなったというのが妥当な解釈であり、一連の説明は責任逃れ以外の何物でもない。