Nolan D. McCaskill

[ワシントン 12日 ロイター] - 11月の米中間選挙で、民主党が上院の多数派を奪還する可能性が現実味を帯びてきた。選挙戦が始まった当初は、実現の見込みは薄いとみられていた。上院は共和党が53議席、民主党が47議席を占めており、民主党が過半数を獲得するには、2024年の大統領選でトランプ大統領が2桁の得票差で勝利した州のうち少なくとも2州で共和党から議席を奪う必要がある。

上院の勢力図を左右する州の選挙戦の状況をまとめた。

<ジョージア州>

民主党の最優先課題は、現在保有する議席の維持だ。ジョージア州ではオソフ上院議員の再選を、そしてミシガン州の議席を進歩派のアブドゥル・エルサイード氏が獲得するのを後押しする必要がある。トランプ氏は24年の大統領選で、ジョージア州では2パーセントポイント、ミシガン州では1%ポイントの差で勝利した。

オソフ氏は圧倒的な資金調達力を発揮し、6月30日までに9800万ドルを集めた。7月に入った時点の手元資金は4300万ドル近くに上った。対立候補で共和党のコリンズ下院議員の調達額は740万ドルにとどまり、手元資金は210万ドルと報告した。

最近の世論調査では、28年大統領選への出馬も取り沙汰されるオソフ氏が、コリンズ氏を2桁の差でリードしている。

共和党の支出額は1700万ドルと、民主党の1500万ドルを上回る。ただ、オソフ氏の豊富な選挙資金を前に、コリンズ氏は劣勢を覆せない可能性がある。

<ミシガン州>

ミシガン州では民主党主流派が望む候補は指名を獲得できなかった。しかし、主流派に属さない進歩派候補を支持することが、上院の多数派奪還を目指す民主党の戦略の鍵となる。同州で敗れれば、民主党は過半数を得るために共和党が保有する5議席を奪う必要がある。

前出のエルサイード氏は予備選で、主流派が推す穏健派のスティーブンス下院議員を僅差で破り、本選で共和党のロジャース元下院議員と対決することになった。民主党が保有する上院議席を巡る今回の選挙戦の中で、最も接戦となる可能性がある。

ロジャース氏は先週公開した30秒の広告で、カナダは米国の敵ではないと述べ、トランプ氏とその関税政策から距離を置いた。ナレーターは「この関税戦争を終わらせる必要がある。今すぐにだ」と訴えている。

ハリス前副大統領はエルサイード氏と共に選挙活動を行っており、オバマ元大統領も今月下旬、同氏の集会に参加する予定だ。直近の複数の世論調査では、エルサイード氏が1─7%ポイントの差でリードしている。

上院選で共和党は8600万ドルを支出し、民主党の4100万ドルの2倍以上に達している。

<ニューハンプシャー州>

ニューハンプシャー州でも、民主党は現職が引退する議席の維持を目指している。同州は、24年の大統領選でハリス氏が3%ポイント近い差で勝利した。

民主党のパパス下院議員が、08年に民主党のシャヒーン上院議員に敗れて議席を失った共和党のスヌヌ元上院議員と争う。シャヒーン氏は引退する。

パパス氏の資金調達額は1500万ドルで、スヌヌ氏は400万ドル。手元資金でもパパス氏が100万ドル上回っている。

ただ、共和党の支援がスヌヌ氏の資金面の劣勢を補っている。同氏の弟クリス氏は昨年まで州知事を務め、父親も州知事やブッシュ元大統領(父)の首席補佐官を歴任した。この選挙戦で共和党は2500万ドルを支出し、民主党の1200万ドルを上回っている。

パパス氏は最近の世論調査で、一貫して5─8%ポイントのリードを維持している。

<メーン州>

民主党にとって議席奪取の最大の好機はメーン州にある。ハリス氏が勝利した州で、共和党の現職が今回改選を迎えるのは同州だけだ。ハリス氏は24年に7%ポイント近い差で勝利した。

共和党の現職コリンズ上院議員は日頃からトランプ氏と距離を置き、同州でトランプ氏やバンス副大統領と共に登壇することを断ってきた。1月6日の議会襲撃事件を受けたトランプ氏の弾劾裁判で有罪票を投じたコリンズ氏は、先週の討論会で、自身が大統領のお気に入りの上院議員ではないと認め、トランプ氏はメーン州には来ないと述べた。ただ、共和党の「一つの大きく美しい法案」については、最終採決で反対したものの、成立を後押しした。また民主党は、人工妊娠中絶の権利を連邦レベルで認めた最高裁判断が覆されることにつながったカバノー最高裁判事の指名承認を支援した責任を、有権者がコリンズ氏に問うことを期待している。

しかし、民主党も混乱を抱えている。同州の民主党は進歩派でカキ養殖業者のグラム・プラトナー氏を候補に指名したが、同氏は性的暴行疑惑を受けて撤退に追い込まれ、州の党組織は新候補の選出手続きを短期間で進めざるを得なくなった。プラトナー氏は疑惑を否定している。

後任候補には同じく進歩派のジャクソン元メーン州上院議長が選ばれたが、同氏は夏から資金がない状態で選挙運動を開始せざるを得なかった。プラトナー氏は上院歳出委員会の委員長を務めるコリンズ氏を上回る資金を集めていたが、そのプラトナー氏でさえ、手元資金ではコリンズ氏の1100万ドルを大幅に下回っていた。

共和党はコリンズ氏の再選に向け、メーン州に5000万ドル超を投入した。民主党の2600万ドルのほぼ2倍に上る。ただ、最新の世論調査ではジャクソン氏が4%ポイントの差でリードしている。

<ノースカロライナ州>

共和党はノースカロライナ州での勝利を事実上断念したように見受けられる。共和党系の有力な特別政治活動委員会(スーパーPAC)は、最近まで接戦になるとはみられていなかったカンザス州に資源を振り向けた。

共和党内でトランプ氏に批判的なティリス上院議員は再選を目指さなかった。現職不在となったこの議席を巡り、民主党は有力候補としてクーパー前ノースカロライナ州知事の擁立に成功。一方、共和党はワトリー前共和党全国委員長を擁立した。

多くの民主党候補と同様、クーパー氏は資金調達で対立候補を圧倒し、3500万ドルを集め、手元資金は2100万ドルとなった。ワトリー氏の調達額は1100万ドルで、手元資金は350万ドルと報告した。共和党の支出額は4500万ドルと、民主党を2000万ドル近く上回る。それでも、クーパー氏は9月を通じて10月に入っても世論調査でリードし、一部では2桁の差をつけている。

トランプ氏は24年、ノースカロライナ州で3%ポイントの差で勝利した。

<オハイオ州>

オハイオ州は、24年にトランプ氏が2桁の差で勝利した激戦州の一つ。民主党が上院の多数派を奪還するためには、こうした州のうち少なくとも2州で勝利する必要がある。

民主党候補は、前回の選挙で共和党のモレノ上院議員に敗れたブラウン元上院議員。今回は、バンス氏の副大統領就任に伴い後任に任命されたハステッド上院議員と争う。

補欠選挙の勝者は、29年1月までのバンス氏の残りの任期を務める。

ブラウン氏は3900万ドルを調達し、手元資金は1600万ドル。一方、ハステッド氏は1400万ドルを集め、900万ドルを確保している。外部団体による支出は2億ドルを超え、全米でも最も多額の資金が投入される上院選の一つとなった。共和党側だけで1億4300万ドルを占める。

勝敗の見通せない接戦で、最近の世論調査では両候補がそれぞれリードする結果が出ている。

<テキサス州>

テキサス州では1994年以降、州全体を対象とする選挙で民主党候補が勝利していない。タラリコ州下院議員がこの連敗に終止符を打つ可能性がある。ただ、民主党はベト・オルーク氏とコリン・オールレッド氏にも同じ期待を寄せたが、両氏はそれぞれ18年と24年に共和党のクルーズ上院議員に敗れた。

タラリコ氏の対立候補は、共和党候補として歴史的に見ても弱いパクストン州司法長官だが、それでも共和党の牙城テキサス州であることに変わりはない。

トランプ氏は2024年、テキサス州で14%ポイント近い差で勝利した。それでも共和党は、予備選の決選投票で不祥事を複数抱えるパクストン氏が現職のコーニン上院議員を破って指名を獲得したことを受け、議席維持に向けて既に2億1000万ドルという巨額を支出している。ワシントンの共和党関係者は本選で勝利しやすいとみられていたコーニン氏を支持していたが、トランプ氏は予備選の決選投票でパクストン氏を支持した。

トランプ氏とパクストン氏の間に隔たりがあることを示す音声も流出している。パクストン氏は非公開の場で献金者らに、大統領が開いた中間選挙向けの党大会が自身の選挙運動に悪影響を及ぼしたと発言。選挙運動は首都ワシントンから指揮されているため、自分ではコントロールできないと語った。

民主党の上院選への支出は3900万ドルにとどまるが、タラリコ氏の資金調達額はパクストン氏を6000万ドル上回り、手元資金も2000万ドル近く多いと報告した。

最近の世論調査の結果は、互角からタラリコ氏の6%ポイントのリードまで幅がある。

<カンザス州>

政治情勢は民主党に大きく有利に傾き、カンザス州も接戦州となった。共和党はマーシャル上院議員を支えるため、ノースカロライナ州から選挙資源を振り向けた。同氏はここ数週間、州内での移民・税関捜査局(ICE)の活動を非難している。

トランプ氏は24年、カンザス州で16%ポイントの差で勝利したが、同州では民主党のケリー知事が2度当選している。共和党指導部も、今回の選挙戦が競り合いとなっており、期待していたより厳しい接戦だと公に認めている。

マーシャル氏の対立候補は、メソジスト派のメガチャーチ(大規模教会)を創設したアダム・ハミルトン牧師。マーシャル氏の陣営は資金調達額でハミルトン氏を200万ドル上回り、手元資金も370万ドル多い。支出額では民主党が760万ドルと、共和党の460万ドルを上回っている。

最近の世論調査では、ハミルトン氏が1─5%ポイントの差でリードしている。

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