ブラジルのルラ大統領はかつては自国の左派を救ったと胸を張って主張できた。だが今では、さながら左派の墓掘り人だ。
10月4日に行われた大統領選の第1回投票では、ボルソナロ前大統領の長男フラビオ(親の七光だけで大統領候補になった男だ)が事前の下馬評を覆し得票数でルラを上回った。ルラと陣営の左派にとって、これは痛恨の敗北にほかならない。
ボルソナロも有効票の過半数を得られなかったため、10月25日の決選投票でルラと再び戦うことになる。とはいえ、まとまった票を獲得した残り3人の候補者は全員、右派か中道右派。つまり、右派のボルソナロの勝利は確定したも同然だ。
4日には議会選と州知事選も行われ、ボルソナロの所属する自由党は議会の最大勢力となり、州知事の数でも最多となった。今回の選挙ではボルソナロ一族も大勝した。前大統領の3番目の妻、2人の息子、弟も連邦議員に選出されたのだ。
左派はどこで失敗したのか。それを探るにはまずルラを俎上に載せなければならない。貧しい旋盤工から権力の頂点まで上り詰めた経歴は立派だが、今や彼は「過去の人」だ。80歳を過ぎた老体で今回の選挙に出るべきではなかった。彼に代わる候補がいなかったから出馬しただけだ。
ルラの後継者として有力視されていた唯一の人物は元サンパウロ市長のフェルナンド・アダジだが、今回のサンパウロ州知事選で中道右派の現職に大差で敗れた。これでアダジは選挙で4連敗したことになり、ルラ同様、政治生命は終わったも同然だ。