若手教員の給与はOECD平均以下
専門家らは、政府が教育の低迷を反転させられない理由の一つに、年金支出の増加が他の政策分野に回す財源を奪っていることを挙げる。フランスの27年の教育予算は640億ユーロ(約11兆3976億円)となる見通しで、教員の年金費用を加えると、コストはさらに28%増える。
ロイターがユーロスタット(EU統計局)のデータを基に算出したところ、フランスの年金支出総額は来年、4360億ユーロ、国内総生産(GDP)の14%に達する見込み。年金支出は過去20年間、他の全ての政府支出項目を上回るペースで増加する一方、教育支出の比重は低下してきた。
年金支出の着実な増加は、高齢化だけが理由ではない。背景には、年金受給開始年齢の引き上げや年金給付の削減に対する有権者の反発もある。
仏シンクタンクの企業研究所のエコノミスト、エルワン・ティソン氏は、年金支出が教育予算を圧迫していると指摘。その結果、フランスでは若手教員の給与がOECD平均を下回っており、これが不満やストライキにつながっているという。
ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏は8日、ニュースレター配信サービス「サブスタック」への投稿で、「フランスは実質的に、他の国民の負担によって高齢者に巨額の補助金を与えている。全国規模で学生の大規模な抗議デモが起きても、何ら不思議ではない」と述べた。
富裕層は公立から私立へ移行
フランスの私立校の大半は、国と契約を結ぶ「契約校」として運営されている。契約校のほとんどはカトリック系。公的支援を受け、公立校と同じカリキュラムを提供する一方、教員採用や入学者選考では公立校より大きな裁量を持つ。教員の給与は国が負担し、授業以外の費用は保護者が支払う。代替教員を確保しやすく、ストや欠勤の影響を受けにくい。
会計検査院が23年に公表した報告書によると、フランスでは7500校を超える契約校に200万人以上、全生徒の17.6%の子どもが通っている。契約校に通う生徒の割合は2011年から21年にかけて緩やかに上昇した。