ジブリ映画で有名なあの街も

「アドリア海の真珠」と呼ばれるのが、クロアチア南端の港町ドブロブニクだ。アメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地として有名で、日本でも、映画『魔女の宅急便』や『紅の豚』のモデルになったと言われている。オレンジ色の屋根と青い海に寄り添う城壁都市で、全長2キロの城壁は、最大で25メートルの高さと6メートルの厚さを誇る。典型的な「入りにくく見えやすい場所」だ。

街を取り囲む城壁の建設が始まったのは13世紀。オスマン帝国やベネチアの脅威を感じて、市壁の強化は17世紀まで続いた。公共建築物の4分の3が倒壊し、5000人の死者を出した地震にも、この城壁は耐え抜いたというから驚きだ。海沿いに設置されることが多い原子力発電所も、こうした守りがあれば、侵入防止だけでなく、津波被害を免れるかもしれない。

ドブロブニク(城壁)
ドブロブニク(城壁) 筆者撮影

大航海時代はヨーロッパ人による侵略と略奪の時代だった。カリブ海に面したコロンビアの都市カルタヘナも、占領したスペインが、南米の金銀、エメラルド、カカオなどを積み出し、アフリカの奴隷を受け入れる貿易拠点とした。街の繁栄は、イギリスやフランスの海賊を引き寄せる磁力となり、そのため、城壁都市の建設が始まる。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の舞台の誕生だ。カリブの海賊も「入りにくく見えやすい場所」は苦手に違いない。

同じように、シンドバッド伝説が残るオマーンの首都マスカットも、海のシルクロードの交易都市として栄えていたため、ポルトガルの格好のターゲットになった。占領したポルトガルは、オスマン帝国、オランダ、イギリスの侵攻を恐れ、街を囲む城壁を築き、港に要塞を建てるようになる。マスカットはもともと、港に三方から岩山が迫る天然の要害だったが、一層「入りにくい場所」となったわけだ。

カルタヘナ(城壁)
カルタヘナ(城壁) 筆者撮影
 マスカット(城壁)
 マスカット(城壁) 筆者撮影
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