<米AI開発大手アンソロピックの研究員が「10年以内にAIが人間を滅亡させる可能性は10%以上」と断言し、暴走AIが現実味を帯びる事件も多発。そんななか、同じくいつも暴走気味のトランプがAIの開発を進める理由はやはり……? アメリカ出身芸人のパックンが解説します>
創刊1952年のMAD Magazine(米誌マッド)は今も多くの愛読者を誇る。僕もその1人だ! まあ、愛読は言いすぎだ。愛してはいない。あと、読んでない。単なるギャグコミックもあるが、政治風刺の要素も非常に多い雑誌だ。表紙は毎回、マスコットキャラクターであるアルフレッド・E・ニューマンが飾る。赤毛にそばかす、すきっ歯のその顔はアメリカ人なら誰でも知っている。また言いすぎだ。若者は知らないだろう。TikTokに出てこないから。
ケネディやニクソンなどその時代、時代の大統領がニューマンと一緒に表紙を飾り、こき下ろされてきた。ましてやオバマはニューマンとして描かれている! 意外にもトランプはその「名誉な不名誉」にあずかっていない。そこで今回の風刺画が、代わりにその機会を与えている。「風刺雑誌の風刺」なわけだ。
題材はAIに対するトランプのスタンス。最近、隔離されていたはずのAIが「脱獄」したり、勝手にAIエージェント同士で連携して「工作活動」をしたり、民間企業のデータベースをハッキングしたりする、といった事件が連続で発覚し、猛烈なペースで開発が進む新技術の危険性が浮き彫りになっている。米AI開発大手アンソロピックの研究員が「10年以内にAIが人間を滅亡させる可能性は10%以上」と断言したことが広く話題になった。大手AI業者が口をそろえて規制の必要性を訴えるようになり、無責任な開発に抗議する研究者らの辞職が相次いでいる。しかし、トランプ大統領はイケイケどんどん。
Madは怒っているという意味もあれば、狂っているという意味もある。雑誌は後者の意味から名付けられている。しかし、風刺画でTシャツにあるMad about ○○と言うと「○○にぞっこん」になり、トランプのAIに対する溺愛っぷりを表している。